国会での論議は何だったのか? その2

文化通信5月1日号は「「文化通信」60周年記念特集号」でもあって、マスコミを代表する人たちからのコメントやインタビュー記事などが掲載されている。
その中に、小学館社長の相賀昌宏氏のインタビュー記事も掲載されていて、貸与権についての言及もあった。相賀氏は出版物貸与権管理センターの理事でもあります。

出版業界で貸与権を獲得しましたが、利用者との使用料交渉が難航していますね

との質問に対して相賀氏は次のように答えている。

権利というのはお金を取ることが絶対条件です。無料だったら権利はないのと同じです。ただ、何も最初から理想のレベルじゃなくても、少しでも進めることが大切です。
最初から100%行使できる権利などありません。しかし、少しずつでも進めていけば、お金を払う利用者にも、使用料を払っていない業者を押さえる防波堤としてのメリットを感じてもらえるはずです。
その時になってから、使用料を見直せば良いのです。いろんなアイデアを使って、あとは忍耐です。理想に到達するまで事務局がコスト的に大変なら我々出版社で応援することにしています。

「お金を取るのが絶対条件」というのなら、禁止権ではなくて報酬請求権でも良かったのではないかとつっこみたくなるが、それはおいておこう。
「少しでも進めることが大切」というのはどうだろうか。
確かに、拙速できちんと機能しないシステムを作り上げても意味はない。
しかし、法改正が施行されて4ヶ月が過ぎていながら、使用料交渉がまとまるめどが立っていないという状況を、もっと深刻に受け止めて欲しい。
昨年の12月18日付けのエントリ(id:copyright:20041218)でも触れたが、国会審議の際には「準備は着々と進んでいる」と弘兼氏や文化庁元川次長らは発言しているし、両院の附帯決議において体制整備が義務づけられている。
そのことをもっと重く受け止めてもらいたい。