漫画原稿流出事件

走る!漫画家~漫画原稿流出事件

走る!漫画家~漫画原稿流出事件

マンガ健康流出事件の被害者で、漫画原稿を守る会世話人渡辺やよい氏が、事件の顛末を書いたのが本書。
一冊の本として面白く読んだ。(当事者は「面白い」ではすまされないとは思うが)

私はこの「漫画原稿流出事件」に関しては、傍観者としてのスタンスです。
所詮は出版社とマンガ家の間の問題であり、読者には関係のない事件だからだ。

しかし、出版社にしてもマンガ家にしても行政にしても「世界に誇る日本のマンガ文化」と言っているのなら、このお粗末な状況を改善することに力を注ぐべきではないのか?
漫画原稿を守る会の賛同者に名を連ねていることを理由に仕事の依頼を取り消された、というあるマンガ家の例が紹介されていたが、そのようなことで「世界に誇る日本のマンガ文化」などとは言ってはいけないと思う。

またマンガ家も「貸与権」の獲得とか、新古書店マンガ喫茶対策よりも、もっともっと先にやるべきことがあるでしょう。「マンガ家の権利」というのは、読者に対して主張していくのではなく、出版社から勝ち取るものじゃないのだろうか。