文化遺産Online

文化庁文化遺産Onlineを試験公開した。
こういう試みは歓迎したいのだが、「著作権及びリンクについて」を読んで失望した。

このホームページに掲載されている個々の情報(文字、写真、動画、イラスト等)は著作権の対象となっています。また、「文化遺産オンライン」全体も編集著作物として著作権の対象となっており、ともに著作権法及び国際条約により保護されています。法律で認められたものを除き、無断で転用・引用・改変することを禁じます。

何で文化遺産著作権を主張するのかな。
確かに「文化遺産オンライン」全体は編集著作物だろう。しかし、個々のものは必ずしも著作権の対象となるとは限らない。
実際に「文化遺産オンライン」の中身を見ていけば分かると思うが、掲載されている画像などで、著作権の対象とならないもの、というか著作権の切れているものが数多くある。
例えばこちらの渡辺崋山筆の鷹見泉石像。
http://www.emuseum.jp/cgi/pkihon.cgi?SyoID=2&ID=w063&SubID=s000
渡辺崋山の死後50年を過ぎているので、この鷹見泉石像の著作権は切れている。
そして鷹見泉石像のデジタル画像についても、デジタル化という行為は単なる複製に過ぎないので、そこに新たな著作権は発生しない。
だから、鷹見泉石像は著作権の対象にはならないのだ。

文化遺産Onlineだけでなく、文化庁のホームページの著作権表記も同様で、これについては、1年以上前に公開質問をメールで送っているが、無視されたままである。

著作権行政を担当している官庁が、著作権についてこの程度の認識しかしていないのだから恐れ入る。
文化庁著作権課は、著作権法の改正などを検討するよりも、まずは文化庁内で職員を対象に著作権教育をするべきではないか。