日本の学術雑誌

今朝の朝日新聞より。

日本の先端研究 レベル向上したが… 科学論文 発進力に遅れ
発表の場は海外誌 情報管理権も国外流出 論文誌「電子化」で対抗
野依良治氏 常にアウエー、不利
朝日新聞. 2004年4月4日(日)19面(オピニオン)

この記事の主張には基本的に賛成。
本当に「科学技術創造立国」というものを目指すのであれば、国内学協会が発行する学術雑誌の価値をもっともっと高めることが必要だと思う。
白川氏・野依氏と2年連続でノーベル化学賞を受賞したにもかかわらず、日本化学会発行の日本語論文誌「日本化学会誌」が2002年3月をもって休刊している事実を重く捉えるべきだと思うのだが。

「日本化学会誌」の『休刊』のお知らせ(PDFファイル)
http://www.chemistry.or.jp/journals/nikka/nikka-kyukan.pdf

記事中では「電子化」がキーポイントと書かれているが、私は「電子化」だけでは不十分で、Open Accessも必須だと思う。いくら電子化していても、その学会の会員でなければ全文にアクセスできないとか、冊子体の雑誌を購読していないと全文にアクセスできない、というのであれば、その論文は読まれないだろう。Open Accessであれば、誰もが読むことができるのだ。
記事中で応用物理学会の鈴木徹論文誌出版委員長の次の言葉が紹介されている。

「いい論文なら世界中に読んでもらえるというシステムはできた。海外誌へ出す必要性は薄れるはず」

そのシステムにはOpen Accessは不可欠だと私は思う。
なお、Open Accessについては次の論文が分かり易くまとまっている。

熊谷 玲美. “オープンアクセス出版”.
情報管理. Vol. 47, No. 1, (2004), 33-37 .
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/47/1/47_33/_article/-char/ja/

残念ながら、この論文はOpen Accessではない。