JPCAと日本複写権センター

本日届いた文化通信第3536号の「出版時評」が良かった。
JPCAの設立を紹介しつつ、このように団体が増えることについて「利用者側(読者も)には分かりにくい。」と批判している。
出版業界紙でこのように利用者(読者)の側に立ち、意見を述べている点が、非常に好感が持てる。
その出版時評のなかで、JPCAの設立の背景について、次のように述べている。

JPACの設立には、出版社著作権協議会が流体協の加入申請を断ったという背景がある。

少し補足すると、出版社著作権協議会(出著協)とは、日本複写権センターを構成する団体の一つで、社団法人日本書籍出版協会、社団法人日本雑誌協会、社団法人自然科学書協会、社団法人出版梓会、社団法人日本図書教材協会、社団法人日本専門新聞協会日本楽譜出版協会の7団体によって構成されている。
そして出版社が日本複写権センターに複写権を委託する際には、出著協を通じて委託する形になっているので、上記7団体に加盟していない出版社は、日本複写権センターに複写権を委託することができないのである。
そこで、上記の引用部分に戻ると、JPCAを設立した出版流通対策協議会が出著協への加入申請を断られた、ということは、日本複写権センターへの委託の道を断たれたということだ。
かつて、医学・理工学系の出版社がJCLSを設立した際も、日本複写権センターがいわゆる「白抜きR」の取り扱いを中止したことが契機となっている。
日本複写権センターは、自分の社会的な役割をどのように捉えているのだろう。
著作権管理団体は、より多くの著作物の複写権を集め、円滑な利用を促進し、権利者に著作権料を分配するのがその役割だと思うが、日本複写権センターとそれを構成する団体のこれまでの動きをみていると、その役割を放棄しているようにしか思えない。
日本複写権センター著作権管理団体としての使命を果たす意志がないのなら、一日も早く解散すべきだ。