Q&A文芸著作権つっこみその2

Q.著作物を引用することはできますか?

(A 略)

《ミニ解説》引用とは、例えば批評家が、自らの批評の趣旨をより明確にするために、批評の対象となっている原著作物の一部を例示するものです。この場合、引用部分の前後に空行を入れたり、字の大きさを小さくするなりして、どの部分が引用であるかを判別できるように明示しなければなりませんし、出典を明記しなければなりません。また、質的にも量的にも批評の部分が主で、引用の部分が従でなければなりません。なお、漫画や映画のキャラクターについては、引用が認められない場合があります。歌曲の歌詞についても同様です。

このミニ解説にあるような引用方法が、文藝家協会の会員に徹底されているかどうかはともかくとして、最後の2文が気になる。

まず最初の方では「キャラクターの引用」とは何を指しているのかがわからない。
キャラクターを表現したもの(例えば、鉄腕アトムの絵など)については、普通に著作物として扱われるので、三十二条の要件を満たせば、引用は可能である。「キャラクターの引用」って、どういうことなのか、私にはわからない。


次に最後の文。
歌詞も引用はできます。
加戸守行著「著作権法逐条講義 四訂新版」*1245ページに次のようにあります。

音楽作品の小説への引用の場合には、(社)日本音楽著作権協会と(社)日本文芸家協会との間において、覚書が交換され、例えば歌詞の1節以内であれば許諾を求める必要がないこととされていますが、それは、実務的な処理に関する両当事者間の合意であって、本項の解釈を左右するものではありません。実際問題として、ケースによっては、1節を超えても引用可能の場合もあるし、逆に1節以内でも引用できない場合がありましょう。

結局、当事者間の合意と法律は別である、というごく当たり前のことである。
従って、引用が可能か否かは、三十二条に該当するか否かで判断すべきである。


そもそも「引用が認められない場合」というのが、三十二条の要件を満たした「引用」が認められないと言うことなのだろうか。もしそうだとするのなら、その根拠を示してもらいたい。私の調べた範囲では三十二条の要件を満たしていれば、引用は可能である、という結果以外は調べられなかった。