Amazon.com全文検索

id:floresさんからのご要望に応えて、Amazon.com全文検索について書きます。
とは言え最初の感想は、すごいことやるな〜、という程度で、詳しい内容もちゃんと押さえていなかったので、とりあえず、最初にZDNNとCNETの記事を読み返してみました。

Amazon.com、書籍の全文検索機能を立ち上げ(ZDNN)
http://www.itmedia.co.jp/news/0310/24/ne00_amazon.html

米アマゾン、書籍の全頁検索サービス「Search Inside the Book」を開始(CNET)
http://japan.cnet.com/news/ebiz/story/0,2000047658,20061594,00.htm

うん、やっぱ凄いじゃん。190の出版社を通じて12万冊の電子化の許諾を得たってことなんだろうな、と思っていたら、次の記事を発見。

「本が売れなくなる」:米アマゾンの全頁検索に米作家団体が反発(CNET)
http://japan.cnet.com/news/ebiz/story/0,2000047658,20061635,00.htm

作家が反発しているみたい。
気になったのは下記の部分。

また同団体は、出版社と著者との契約では、出版社が著者の許可なくこのサービスに参加することは認められていないという議論も展開している。

ってことは、著者の許諾は得ていないことなんだろうか。著者の許可を得ずに出版社が勝手に許諾したとするなら、それは問題だと思う。
2001年に紙での出版の権利と電子出版の権利は別であるという判決がアメリカで出ています。その判決についての新聞記事をメーリングリストで紹介しているので、その部分を掲載します。

本の版権と電子書籍を作る権利は別だとの判決が、米国の連邦地裁ででたとの記事が今朝の日経産業新聞に載っていました。

日経産業新聞 2001年8月21日(火)3面(デジタルトレンド)
本の版権 電子版には適用されず 米で判決
eブック化競争に拍車 90年代前半以前の作品 契約の認識薄く
日本では別扱いが常識 出版社の立場弱く

原告がランダムハウス社、被告がロゼッタブックス社。
ソフィーの選択」などの電子書籍の販売中止を求めていたが、版権には電子化の権利は含まれていないという判決が出ました。

なので、今回のAmazonのケースでも、著者から許諾を受けてやっているのかと思っていたのですが、著者から許諾を得ないでやっているのなら、ちょっとまずいのでは無いだろうか、と思ったわけです。

そう思ったところで、次の記事を発見。

梅田望夫・英語で読むITトレンド
アマゾンが仕掛ける「書籍のグーグル」は成功するか
http://blog.japan.cnet.com/umeda/archives/000787.html

この記事によるとAmazon側の言い分は下記の通り。

アマゾン自身が大量の本をスキャンしてそのフルテキストデータベースを作ったわけだが、アマゾンはそのアーカイブを提供するのではないから、コピーライト保有者の許可はいらなかった。ユーザはスキャンされたページのイメージを見ることができるだけで、ダウンロードはできない。このサービスによって、本がより売れるようになるから、コピーライトホルダーもハッピー、というのがアマゾンの考え。

米国の著作権法については詳しくないので、勘違いかもしれないが、日本の著作権法では、スキャナで読み取る行為は「複製」行為であり、30条以下の著作権が制限される場合を除いて、著作権者の許諾が必要になるはず。ユーザに提供しようがしまいが関係なく、著作権者の許諾が必要なはずである。
私にはAmazonの主張には無理があるように思う。

しかし、12万冊の本の全文を検索できるというのは、あまりにも魅力的である。
そういう機能が日本でもあれば、私も利用したいのだが、実際問題として著作権がある限り実現されるのは難しいのではないだろうか。

このAmazonのサービスが今後どうなるのか、注目してみたい。