貸与権

9月30日付の読売新聞夕刊ですでに報道されていますが(id:copyright:20030930#p4)産経新聞でも報道されたようです。(Liblogより http://mwr.mediacom.keio.ac.jp/~mine99/blogs/

貸本も著作権料徴収へ 文化庁が法改正方針
http://www.sankei.co.jp/news/031026/1026bun094.htm

問題なのは次の部分。

文化庁は「貸与権が認められれば、次は図書館の本にも著者が著作権料を請求できる公共物貸与権の導入について議論が始まるだろう」としている。

何度も書いているが、公貸権は、著作権の中の一つである貸与権とは違い、著作権とは全く別の権利である。その点を文化庁が混同しているのは、あまりにもお粗末である。それとも故意に混同させようとしているのだろうか。

方法についても疑問である。

著作権料の徴収方法としては、レンタル店への販売価格を定価の2−3倍にする案などが浮上。個人経営の零細な貸本店は、従来通り対象から除く予定だ。

まず、文化庁の方針通り著作権法が改正されたとして、貸与権を有するのは著作者(作家や漫画家)であって、出版社ではない。
定価を2〜3倍にするというやり方を取るのなら、まず出版社が作家や漫画家から貸与権の行使についての委託を受けるとか、権利を譲渡してもらうとかする必要がある。また場合によっては著作権等管理事業者の登録する必要も出てくると思う。
出版契約を結ばずに出版する例が多い中で、出版社は、ほんとうにちゃんと手続を取るのだろうか?