著作権は道徳か?

しかし、日野氏の意見のなかで賛同できない部分もあります。
例えば「違法か? 合法か?」の次の部分。

要するに、著作物が世間に公表されたら、ある一定の範囲で私的に使用されることは当然のはずで、その使用にあたってのやり取りは、法や法律という国家権力が立ち入る問題ではなく、市民間の道徳やマナーに委ねられるべきです。

また、「管理者からひとこと」の次の部分。

このホームページでは何度も表現していますが、著作権法の目的は「文化の発展」なのです。そのためには、著作権者の立場を一方的に守るのではなく、著作権者と利用者とのバランスを考えて線引きしているのであって、この線引きが、複雑な社会に実際に適用されるためには柔軟な判断力が必要であり、その判断の基礎は「相手の立場を思いやる」 そして、「自分がしたいことの重要性を考える」事から始まるのです。

私は「著作権」は「道徳」「マナー」の問題や「思いやり」の問題ではないと考えます。

他者の著作物を自由に使えるケースが著作権法で定められているが*1それは権利者が嫌だと思っても禁止することはできません。例えば、ある人を批判する際にその人の文章を引用する行為は、批判される人は「イヤだ」と思うかもしれませんが、著作権法では認められている行為です。「道徳」とか「マナー」とか「思いやり」という点を強調すると、「人が嫌がっているのだから、やってはいけない」という結果になりかねないおそれがあります。
たとえ相手が嫌がろうとも自由に利用できる範囲を確保するためには、「道徳」「マナー」「思いやり」という言葉は使わないほうがいいと思います。*2

*1:著作権法30条〜50条

*2:日野氏は「道徳」「マナー」「思いやり」という言葉を使っていますが、「著作権法で認められていても、人の嫌がることはやってはいけない」という意見を持っている訳ではありません。誤解の無いように。