「著作物を楽しむ自由のために」

とても感銘を受けた本。

とにかく、タイトルがすばらしい。
著作権を楽しむ自由」、なんてすばらしい言葉だろう。
このタイトルだけで本書を購入することを決めたと言っても過言では無い

本書はその「著作物を楽しむ自由」の観点から、11の裁判例について、批判的に解説している。なお、この11の裁判例のうち5つが「カラオケ法理」に関連する判例である。
ここで取り上げられた判例のうちのいくつかは、自分でもおかしいと思ったことのあるものだった。

では、その「著作物を楽しむ自由」は何に基づいて主張することヶできるのか、本書では憲法第13条の「幸福追求権」をその根拠としている。著者の岡邦俊氏は、島並良神戸大学教授の講演から示唆を受けたと書いている。

自分は、著作権について利用者の立場からこれまで考えてきたつもりだが、やはり権利者の立場は圧倒的に強く、利用者というのは非力な存在だと感じることが多かった。
法改正においても、権利者の意向が強く反映されてきた過程を見ることが多かった。
山田奨治氏の次の著書に、その辺りのことは詳しく書かれている。
日本の著作権はなぜこんなに厳しいのか日本の著作権はなぜもっと厳しくなるのか

そのような中で「著作物を楽しむ自由」という言葉を見て、一つの希望を感じた。
この言葉を強く訴えて行くことで、これまでの権利者偏重の著作権の考え方を動かすことができるのではないかと。
自分がこれまで著作権について考えてきたことは、この「著作物を楽しむ自由」という言葉に集約されるのかもしれない。
憲法第13条の「幸福追求権」に基づく「著作物を楽しむ自由」を広く訴えて行きたいと強く思った。

判例解説の本なので、すらすらと読めるものではないかもしれないが、本書を多くの方に読んで欲しいと思う。