「緊急財政対策の取組状況」における神奈川県立図書館・県立川崎図書館の見直し状況について

2月18日付けで、神奈川県が平成25年度予算案等の概要を発表したが、あわせて「緊急財政対策の取組状況」という資料も公表された。
この「緊急財政対策の取組状況」に「県有施設 見直しのロードマップ」の表が掲載されているが、その中に神奈川県立図書館と神奈川県立川崎図書館についても記載されている。

そこで、昨年10月に公表された「神奈川県緊急財政対策」以降の県の公表資料に基づいて、神奈川県立図書館・県立川崎図書館の機能廃止・縮小の動きをまとめてみる。

「神奈川県緊急財政対策」(2012年10月公表)

神奈川県緊急財政対策 [PDFファイル/677KB]
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/586301_1268018_misc.pdf

県立図書館・川崎図書館・生涯学習情報センターの3施設について

機能の純化・集約化を含めた検討
(8頁)

と記載されている。

平成24年第3回神奈川県議会定例会総務政策常任委員会報告資料(2012年12月19日)

平成24年12月19日 平成24年第3回神奈川県議会定例会総務政策常任委員会報告資料(「緊急財政対策について」部分の抜粋) 政策局・総務局 [PDFファイル/1.6MB]
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/586301_1268019_misc.pdf

この報告資料の「別添資料1 県有施設の検討状況」では、県立図書館・川崎図書館・生涯学習情報センターの3施設の「現時点での検討状況」は

川崎市の再編整備計画により29年度までに川崎図書館を現在地から移転する必要があることを踏まえ検討
(8ページ目/別添資料1 2頁)

となっている。

また、この資料と同じページに「県民利用施設の検討の方向性に関する説明資料」が掲載されている。(日付記載無し)

県民利用施設の検討の方向性に関する説明資料 [PDFファイル/300KB]
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/life/586301_1268017_misc.pdf

この資料では、「機能の純化・集約化を含めた検討」の説明が記載されている。
県立図書館については

市町村立図書館との役割分担を精査しながら、県立図書館の機能を純化し、効率化に向けて検討。
具体的には、閲覧・貸出機能を廃止し、県内の公立図書館間の相互貸借システムの運営など広域的サービス等について、市町村図書館とも協議しながら、検討する。

と、「閲覧・貸出機能の廃止」が明記されている。
一方県立川崎図書館については

川崎市からの借地であり、川崎市の再編整備計画により、平成29年度までに現在地から移転する必要があることから、県立図書館等との集約化を含めた検討を行う。

県立図書館との集約化が明記されている。

平成25年度当初予算案等の概要(2013年2月18日)

「平成25年度当初予算案等の概要」と一緒に「緊急財政対策の取組状況」が公表されている。

緊急財政対策の取組状況 [PDFファイル/1.77MB]
http://www.pref.kanagawa.jp/uploaded/attachment/550779.pdf

この資料では、「調整の方向性」と「今後の調整内容」が掲載されている。(15-16頁)
「調整の方向性」では、県立図書館については

相互貸借システムの拡充など広域的サービスや川崎図書館・生涯学習情報センターとの集約化を検討する中で、必要な閲覧・貸出機能について検討

川崎図書館については

川崎図書館の特性・地域性を踏まえた機能の特化、県立図書館への集約化等に向けて調整

となっている。
また「今後の調整内容」は、県立図書館と川崎図書館が共通で、25年度に

市町村との協議、機能の特化・集約化に向けた調整

を行い、そして27年度以降に

30年度当初に集約化等

とされている。

雑感

当初は「閲覧・貸出の廃止」と報じられていたが、今回の「緊急財政対策の取組状況」に置いては「必要な閲覧・貸出機能について検討」となっていることから、県の姿勢が若干軟化した印象である。
一方で県立川崎図書館については、「県立図書館への集約化等に向けて調整」「30年度当初に集約化等」と、県立図書館への集約は既定路線として進めようとしているように思える。
「必要な閲覧・貸出機能」がどのようなものかも注意しなければならないが、それ以上に県立川崎図書館の県立図書館への集約に対する反対をもっと打ち出す必要があると、強く感じた。