川崎市議会での県立川崎図書館に関する質疑が会議録速報版として掲載された

昨年の12月12日付けのエントリで、川崎市議会でなされた県立川崎図書館に関する質疑を取り上げた。

川崎市議会での県立川崎図書館に関する質疑 - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20121212/p1

この時は、川崎市議会インターネット中継の動画を見て書いたのだが、先日川崎市議会のサイトを確認してみたら、会議録の速報版が掲載されていた。

川崎市議会 会議録速報版
http://www13.gijiroku.com/kawasaki_council/g08v_shiryo1.asp

平成24年12月6日 代表質問(民主党共産党みんなの党)(PDF)
http://www13.gijiroku.com/kawasaki_council/gikaidoc/attach/shiryo1/Sr1B86_121206sokuho.pdf

先のエントリでは、民主党の飯塚正良議員が代表質問で県立川崎図書館について取り上げていることを述べたが、会議録を見てみると日本共産党の佐野仁昭議員も、代表質問で県立川崎図書館について取り上げていた。前回エントリを書く際に参照した代表質問の要旨では、飯塚議員の要旨には「県立川崎図書館について」と記載されていたが、佐野議員の要旨では「県立川崎図書館」の記載が無かったので、気付かなかった。
佐野議員は「神奈川県緊急財政対策、いわゆる神奈川臨調について」のところで県立川崎図書館についても言及していた。
なお、他の会派の代表質問では、県立川崎図書館についての言及は無かった。

会議録速報版に目を通してみたが、両議員とも質疑の中で県立川崎図書館についての箇所は一部なので、一読しただけでは分かりにくい。そこで、関連する箇所だけを抜粋して、以下にまとめた。文言には一切手を入れていない。
なお、飯塚議員の代表質問は前掲のPDFの115頁から、佐野議員の代表質問は144頁から掲載されている。

飯塚議員の代表質問

51番 飯塚正良

おはようございます。私は、民主党川崎市議会議員団を代表して、平成 24年第4回市議会定例会に提案されました諸議案及び市政一般について質問を行います。
<略>
次に、11月7日、神奈川県議会決算特別委員会において県生涯学習課長は、県民への図書閲覧・貸し出しサービスについては廃止する方向で検討したいと答えました。さらに、県立川崎図書館については、敷地が川崎市からの借地であり、平成29年度末までに現在地から移転する必要があり、県立図書館への集約化ということで全体を検討したいと答えています。翌日の新聞各紙はこの日のやりとりを、2県立図書館廃止あるいは閲覧・貸し出し廃止と報じています。これに対して、川崎図書館の個性残してといった投書が神奈川県民から寄せられるなど、廃止に対して疑問の声が上がっています。これまで川崎市議会でも我が会派は、県立川崎図書館の特色と移転問題について質問を行ってきました。今回の県議会におけるやりとりは、どう見ても閉鎖ありきの議論であります。そこで伺います。今回の県議会のやりとりは、事前事後、川崎市に報告あるいは相談があったのか伺います。あったとすれば本市としてはどう対応していくのか伺います。一方、全国トップクラスの1万 5,000冊以上の会社史を所蔵する県立図書館の特色と周辺の企業の資料室担当者が京浜地区資料室運営研究会を設立し、知的財産の集積拠点となっている実績はどう継承されるのか伺います。

教育長 渡邊直美

教育委員会関係の御質問にお答え申し上げます。
初めに、県立川崎図書館についての御質問でございますが、県議会後の11月20日に、県内各市町村教育委員会と県教育委員会との意見交換会が開催され、県緊急財政対策についての報告とともに、今後の県立図書館のあり方について現状と課題の洗い出し、論点整理等を行い、改めて市町村との意見交換を行っていきたいとの説明がなされたところでございます。教育委員会といたしましては、県立図書館を利用している市民へのサービスの低下につながることが考えられますので、地域への影響等を十分に踏まえながら、他の市町村とも情報交換を行い、県と協議してまいります。また、県立川崎図書館の持つ知的財産などにかかわる産業情報機能等につきましては、川崎市内において県による機能存続が図られるよう、本市としては引き続き要望してまいりたいと考えております。

51番 飯塚正良

ありがとうございました。それでは、再度質問させていただきます。
<略>
次に、県立川崎図書館の廃止については、先ほど教育長から、利用している市民へのサービス低下につながることが考えられるので、他の市町村とも連携して、県と協議していくとの答弁がありました。そこで、砂田副市長に伺います。この件についてはどのような報告が行われたのか伺います。次に、知的財産などにかかわる産業情報機能については、機能存続が図られるよう本市として引き続き要望していくとのことですが、平成 29年度末までに移転する計画と伺っています。そこで、移転先として市立中原図書館や殿町KING SKYFRONT、例えば県有地である川崎区境町旧県立職業訓練校京浜分校跡地へ、保育所あるいは特養ホームの合築なども検討できないのか伺います。

副市長 砂田慎治

県立川崎図書館についての御質問でございますが、初めに、県からの報告についてでございますが、県立図書館が廃止されるとの報道がなされた後、県からは、今後の県立川崎図書館のあり方について、全面的廃止が前提ではなく、これから市と協議していきたいとの説明がございました。その後、事務レベルでの意見交換会が開催されたところでございます。次に、産業情報機能等の存続についてでございますが、まずは、県によりまして、市町村との協議に基づき県立図書館のあり方について方向性を示していただきたいと考えますが、本市といたしましては、県立川崎図書館の持つ知的財産などにかかわる産業情報機能などの存続について、さまざまな可能性を検討していただき、県による本市内での機能存続が図られるよう、引き続き、要望、協議してまいりたいと存じます。以上でございます。

51番 飯塚正良

2つ目は、県立図書館であります。県立図書館が川崎のまちからなくなるということは、地域にとって大きな問題であります。先ほど砂田副市長から、知的財産などにかかわる産業情報機能については市内で機能存続を図られるよう要望していくとの答弁をいただきました。市長みずから、さらに強く県立図書館の存続に向けて県に言うべきと思いますが、市長のお考えを伺います。
同じく県立図書館でありますが、県が機能廃止をした県立高等職業技術訓練校京浜分校の跡地があります。川崎図書館の移転先として県に働きかけていくべきと思いますが、移転先の適地として、市長の考えを伺います。

市長 阿部孝夫

県立図書館についてのお尋ねでございますが、今後の県立図書館のあり方につきましては、事務レベルでの検討が始まったところでございます。本市といたしましては、引き続き県立川崎図書館の持つ産業情報機能等について、県による本市内での機能存続を求めていくとともに、市民サービスの低下につながることのないよう、今後県立図書館が果たすべき役割について、他の市町村とも連携を図りながら、また移転先その他、今回の関係分野を含めて県と協議してまいりたいと考えております。以上でございます。

佐野議員の代表質問

30番 佐野仁昭

私は、日本共産党を代表して、2012年第4回定例会に提案された諸議案並びに市政一般について質問を行います。
<略>
次は、神奈川県緊急財政対策、いわゆる神奈川臨調についてです。県は、県有施設の廃止、移譲に係る検討の一部として、さきの県議会において県立川崎図書館を廃止すると説明したとのことです。この図書館は、昭和33年に県内で2館目の県立図書館として開館しました。全国で唯一、科学と産業に特化した公立図書館として、科学技術系の専門書や学術雑誌の蔵書数、社史の豊富さ、多様な企業支援サービスなどから、市民を初め、企業、研究者などから高い評価を受けています。約1万6,000冊の国内有数の社史コレクシヨンはほかにありません。また、年間4回から5回テーマを変える展示、中でも独自の講演会を開催し、探査機「はやぶさ」のプロジェクトマネジャー川口教授をお招きした講演会を開催するなど、大変貴重で多彩な活動を展開しています。こうした特色のある全国に誇れる図書館を廃止すべきではありません。廃止計画を中止するよう県に求めるべきです。市長の見解を伺います。

市長 阿部孝夫

それでは、私から、ただいまの共産党を代表されました佐野議員の御質問にお答えいたします。
<略>
県立川崎図書館についてのお尋ねでございますが、県立川崎図書館は、科学・産業技術系の蔵書やビジネス支援等に関する蔵書が豊富な図書館として、市民や企業、研究開発機関から高い評価を得ており、こうした機能を市内に残す方向で県に要望してきているところでございます。事務方からは、先日、神奈川県から、今後の県立図書館のあり方について市町村と十分な協議を行っていくとの説明があったと報告を受けております。引き続き、他の市町村とも十分に情報交換を行いながら慎重に対応するとともに、産業情報機能など県による本市内での機能存続を要望し、協議を行ってまいりたいと考えております。以上でございます。

30番 佐野仁昭

それではまず、意見要望を申し上げます。県立川崎図書館の存続についてですけれども、市民や企業、研究開発機関から高い評価を得ているとお認めになっているわけです。機能を残す方向で要望しているとしていますが、機能という言葉によって守るべきものを狭めるようなことがあってはならないと思います。高く評価されているものは豊富な蔵書量だけではなくて、経験豊富な職員によるマンパワーもその評価に含まれています。図書館の運営システム、相談支援活動を支える職員体制を含めて丸ごと存続することが重要です。ぜひそういう立場で県に強く要請していただくように要望しておきます。