2012年11月7日の神奈川県議会決算特別委員会での松崎淳議員の質疑

神奈川県立図書館・神奈川県立川崎図書館の機能縮小・廃止問題が明らかになったのは、2012年11月7日の神奈川県議会決算特別委員会においてです。
その決算特別委員会の議事録がまだ公開されていないため、具体的にどのような発言が県からなされたかは、報道を通じてしか知ることができませんでした。

民主党の松崎淳議員が、1月1日付けでタウンニュースに掲載された松崎議員事務所の企画記事において、松崎議員の質問で引き出したことを述べています。

県立図書館については、西区紅葉ヶ丘の図書館の閲覧・貸出サービスを廃止し市町村図書館の支援に回る、川崎図書館を廃館とする方向で検討されています。この見直しで2館の年間総事業費のうち約7割を削減できるという試算もあります。さらに、県職員の給与引き下げや持ち家手当の廃止も進んでいます。いずれの問題も、私の知事への答弁で引き出したものです。

議員記者がゆく・前編 徹底した財政改革を実現 神奈川県議会議員 松崎淳 | 金沢区・磯子区 | タウンニュース

そこで、松崎議員のサイトを確認したところ、「平成24年11月7日 神奈川県議会決算特別委員会での質疑のまとめ」が掲載されていました。

平成24年11月7日 神奈川県議会決算特別委員会での質疑のまとめ
http://www.matsujun.com/kengikai/kessan03.html

そこに、県の福地生涯学習課長と二見教育局長の答弁も掲載されています。
これによって、県がどのような説明をしたのかが、具体的に明らかになりました。
興味のある方は、松崎議員のサイトをご覧いただきたいのですが、その中から、特にポイントとなる部分をピックアップしました。

福地生涯学習課長の答弁

まず、機能の純化についてですが、今までいろいろな変遷があった中で、これからの県立の図書館が果たすべき役割をしっかりと見直していこうということで、機能の純化と申し上げました。
具体的には、県内の公立図書館の間での相互貸借システムの運営、専門の司書の方々の研修や市町村立図書館ではなかなか一般的に購入しない専門性の高い図書の収集。こういうことで、市町村への支援をしていくことは、県の役割と認識しております。
また、高齢化社会などが進んでいきますと、実際に図書館へ通えない方々へのサービスはどうしたらよいのか、電子図書なども普及しており、情報化社会を見据えた新しい図書館サービスのあり方について、研究をして、市町村の図書館に普及をしていく。というようなことは、行っていかなければならないと考えております。
一方、市町村の図書館の整備が進んでまいりますと、県民への図書の閲覧・貸出サービス、こういった直接サービスについては、必ずしも県立の図書館の役割でなくても良いとの考え方から、こうした直接的サービスは、廃止することも含めた方向で検討したいと考えております。
それから、集約化についてですが、川崎図書館は、敷地が川崎市からの借地であり、市の再編整備計画により、平成29年度末までに現在地から移転する必要があることから、県立図書館等への集約化ということで全体を検討していかなければならないと考えております。

http://www.matsujun.com/kengikai/kessan03.html

ひとつの検討の方向としてということですが、閲覧や貸出のサービスは行わない施設として検討してまいりたいと思います。

http://www.matsujun.com/kengikai/kessan03.html

二見教育局長の答弁

今回お示しした見直しの方向では、県立の図書館として、現地での閲覧・貸出を行わないということを検討しており、それが実現すると図書館の公の「施設」という観点からは「廃止」に該当すると考えております。
ただ、県民サービスに直結する閲覧・貸出機能を全て無くしてしまうというわけではありません。逆に、県立の図書館で閲覧できない代わりに、県民の皆さんの身近にある「市町村立図書館」において、県立の図書館の有する専門図書が閲覧できるようにしていきたいと考えております。これが、広域行政の役割と考えております。
その仕組みとしましては、KL−NETという仕組みがございますが、これを拡充し、本の貸し借りを市町村と綿密に行う仕組みを作り上げていきたいと考えております。そうしますと、県民の皆様にとっては、利便性の向上につながる点もあると考えております。
したがいまして、「廃止」もあり得るという見直しの方向でありますが、その前提として、市町村との連携で新たな図書館の形態を作っていくということができないかを検討することをご理解いただきたい。その形態には解決すべき課題はたくさんあり、慎重に進めるべきと認識しております。
検討の進め方におきましては、今は見直しの形がスタートしたばかりであり、今後、市町村や図書の関係者、県民の方々、議会との議論。これを十分に尽くしながら方向を定めていきたいと考えております。
そのスケジュールとしては、今年度から来年度にかけまして、ロードマップを示しながら、特に市町村とは、綿密に協議をして方向を定めていきたいと考えております。

http://www.matsujun.com/kengikai/kessan03.html

二見教育局長が、県立の2図書館について閲覧・貸出サービスの廃止が「図書館の公の「施設」という観点からは「廃止」に該当すると考えております」と述べている点については、特に注目する必要があると思う。
これに対して、なぜ県立2図書館の県民への直接の閲覧・貸出サービスが必要なのか、それを主張していきたいと思います。