登録者1人当たりの貸出冊数の増加

図書館の貸出数最多の5.4冊 10年度1人平均  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG31030_R31C12A0CR8000/

3年毎に行われる文部科学省の社会教育調査の中間報告が発表された。

社会教育調査-平成23年度結果(中間報告)の概要:文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa02/shakai/kekka/k_detail/1326752.htm

この調査の中間報告が発表されるたびに、このブログで取り上げていたので、今回も取り上げてみる。
なお、過去のエントリはこれ。

図書館貸出増加の鈍化 - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20030920/p1

貸出冊数増加率は回復 - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20060723/p1

1館当たりの貸出は伸びていない - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20091115/p1

貸出冊数、図書館数、1館当たりの貸出冊数

3年前に取り上げた、貸出冊数の伸びと、1館当たりの貸出冊数を見てみよう。

  貸出冊数 増加数 伸び率 図書館数 増加数 伸び率 1館当たり貸出冊数 増加数 伸び率
平成元年度 266,020,751     1950     136,420.90    
平成 4年度 323,606,639 57,585,888 21.65% 2172 222 11.38% 148,990.17 12,569 9.21%
平成 7年度 404,160,602 80,553,963 24.89% 2396 224 10.31% 168,681.39 19,691 13.22%
平成10年度 480,422,204 76,261,602 18.87% 2592 196 8.18% 185,348.07 16,667 9.88%
平成13年度 520,831,316 40,409,112 8.41% 2742 150 5.79% 189,945.78 4,598 2.48%
平成16年度 580,828,879 59,997,563 11.52% 2979 237 8.64% 194,974.45 5,029 2.65%
平成19年度 631,872,611 51,043,732 8.79% 3165 186 6.24% 199,643.79 4,669 2.39%
平成23年 663,601,108 31,728,497 5.02% 3274 109 3.44% 202,688.18 3,044 1.52%

貸出冊数は依然として伸びているが、伸び率は過去最低。1館当たりの貸出冊数も増えているが、伸び率では過去最低。
3年前にも書いたが、貸出サービスが一定の所まで普及したのだろう。

貸出冊数、登録者数、登録者1人当たりの貸出冊数

冒頭であげた記事や、文科省のリリースでは、国民1人当たりの貸出冊数が書かれている。
国民1人当たりとすると、図書館を全く利用していない人も含めた数字になる。
もちろんその数字にも意味はあるけど、図書館の利用者だけに絞って見てみたいと思う。
そこで、「登録者数」に注目してみた。

  貸出冊数 増加数 伸び率 登録者数 増加数 伸び率 1人当たり貸出冊数 増加数 伸び率
平成元年度 266,020,751     19,075,712     13.95    
平成 4年度 323,606,639 57,585,888 21.65% 24,744,372 5,668,660 29.72% 13.08 -0.87 -6.22%
平成 7年度 404,160,602 80,553,963 24.89% 36,887,319 12,142,947 49.07% 10.96 -2.12 -16.22%
平成10年度 480,422,204 76,261,602 18.87% 26,439,261 -10,448,058 -28.32% 18.17 7.21 65.84%
平成13年度 520,831,316 40,409,112 8.41% 27,857,229 1,417,968 5.36% 18.70 0.53 2.89%
平成16年度 580,828,879 59,997,563 11.52% 31,991,510 4,134,281 14.84% 18.16 -0.4 -2.89%
平成19年度 631,872,611 51,043,732 8.79% 34,031,694 2,040,184 6.38% 18.57 0.41 2.27%
平成23年 663,601,108 31,728,497 5.02% 33,075,116 -956,578 -2.81% 20.06 1.50 8.06%

登録者数を見てみると、増減や伸び率が年度によって大きく違っている。
特に平成7年度と10年度は、異常値とも見えるぐらい、大きく増減している。原因は分からないがちょっと気になる。
そして、平成23年度も登録者数が減少している。登録者数の減少についての考察は、社会教育調査の中間報告では、なされていない。
これもちょっと気になる。

一方で、登録者1人当たりの貸出冊数で見てみると、平成10年度以降は1人18冊程度で推移してきたが、平成23年度に20冊に増えている。登録者数が減っているので、登録者ひとりの貸出冊数が増えたために、全体の貸出冊数も増えているということだ。
図書館を利用している人は、より本を借りるようになったのだろう。

本の貸出冊数が伸びている理由について、文科省調査企画課は「団塊の世代の大量退職が始まり、空いた時間に本を読んで過ごす人が増えたのではないか」と指摘。1回あたりの貸出冊数の上限緩和や、閉館時間を遅らせるなどサービス向上に力を入れる図書館が増えていることも要因という。

図書館の貸出数最多の5.4冊 10年度1人平均 :日本経済新聞

冒頭の記事のこのあたりの分析は妥当なのかもしれない。

それにしても、登録者数の減少は気になるな。