文部科学省が文化遺産のアーカイブ化についての研究会を立ち上げる

2月24日の中川文部科学副大臣の記者会見で、中川副大臣文化遺産アーカイブ化について述べている。

中川副大臣記者会見録(平成22年2月24日):文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1290923.htm

少々長いが、該当箇所をピックアップした。

最近、時代の節目なんだろうと思うんですが、様々な歴史的な積み上げの中にある文化遺産というものをアーカイブ化して、体系的にまとめていくということ。それから、もう一つは、それにアクセスできる、そういう体系を作っていくということ。このことについて考えてくれという話が様々な分野で出てきています。例えば、テレビの関係でいえば、NHKはそういうアーカイブを持っているんですが、民放についてはせっかくのドラマだとか、いろんな作品というのが消されてしまっているものもあると聞いていますし、なんとか後世に残していく手段を作ってほしいということであるとか、シナリオについてもデジタル化して、検索して使っていくということが、ものすごく効果的なんだけれども、今のところそういう手段がないということであるとか、あるいは、この間、吉本の皆さんがやってきまして、あそこもSP版も含めて、相当いい文化遺産として残していけるものがあるんだと。しかし、それを体系的につないでいくものがないというふうなこと等々、本当に様々な分野でそういう問題提起がなされているものですから、一度体系的に研究会を立ち上げて、改めて国がどういうふうに関与していくか。民間でアーカイブ化できるものについては支援していくということだろうと思うんですが、例えば、国の博物館とか図書館ですね、そういう機関を活用することもできるだろうと思いますし、そういう観点も含めて考えていきたいと思います。もう一つは、何について、その価値の基準を決めて残していくかということも含めて、少し専門家の皆さん、あるいは各分野で活動しておられる皆さんに御意見を聞きながら、体系化に向かって考えていきたいというふうに思っています。そういうことも含めて、いろんな課題に積極的に対応していきたいというふうに思います。

中川副大臣記者会見録(平成22年2月24日):文部科学省

記者)
先ほどの文化遺産の件ですけれども、研究会の立ち上げの時期と、現時点で副大臣が想定されている文化遺産の範囲というのは、ジャンルとかですね、その辺はどういうものを想定されているんでしょうか。


副大臣
今のところ、陳情といいますか、それぞれの分野から上がってきていることはまだ限定されていますので、恐らくもっと広い分野、さっきちょっと例示させていただきましたが、もっと広い分野でアーカイブ化していくことによって、将来の文化的な価値を保存するということ、それと同時にそれを活用することで非常に大きな貢献をしていく分野があるんだろうと思うんです。それを更に掘り出すということと同時に、どのレベルで国が関与してというか、国だけじゃなくて民間だとか、あるいは地方自治体も、それぞれの分野によって、あるいは地域性によって、このアーカイブ化していくものについては、参加していただけるものだと思いますし、そういう組み立てをしなきゃいけないんだろうと思うんで、そういうことも含めてやっていきたいというふうに思っています。だから、今のところ、どういうことが想定されているかっていうところまで、私の知識もいっていません。そこに素晴らしい世界があるんだろうということの予感の中で勉強会を立ち上げていきたいというふうに思っています。それから、いつからということなんですが、3月の頭ぐらいから、準備を今進めていまして、入っていきたいというふうに思っています。


記者)
先ほど、ドラマとかとおっしゃっていましたけれど、映像コンテンツを残していくという意味なのか、もう少し具体的にどういうものを文化遺産と中川副大臣はみなしていらっしゃるんですか。


副大臣
映像コンテンツもそうですし、ビデオの時代からですね、恐らくそれをデジタル化していろんな形で併せて見ていくっていうか、シナリオの中で検索機能をもてばですね、例えば別れのシーンというのがドラマの中で、デジタル化されたものの中で、こう横に並べて、それぞれのドラマから別れのシーンだけを取り出して見ていけるとか、そういう応用も含めたアーカイブ化っていうのが考えていけるんだろうということです。そんなことも含めた価値を上げていくような形の取り組みができたらなというふうに、私は思っています。

中川副大臣記者会見録(平成22年2月24日):文部科学省

研究会は3月に立ち上げるとのこと。
どのようなメンバーで構成されるのかによって、方向性は変わってくるかもしれないが、基本的には良い考えだと私は思う。
まず建物ありき、予算ありきだったいわゆる「国営マンガ喫茶」「アニメの殿堂」みたいにならないよう、是非、優れたアーカイブの構築に繋がるようになって欲しい。


なお、中川副大臣は、2月3日の記者会見においても、これに関連することを述べている。

副大臣
昨日はメディア芸術祭の授賞式がありました。13回目になりますが、参加する芸術家あるいは創作者といいますか、そういう人たちも世界的なレベルで増えてきまして、大きな情報発信をしていく一つのポイントになると実感しました。同時に、参加者の皆さんから様々な問題意識をもって言われたのは、メディア芸術だけの話じゃないんですが、アーカイブ化とデジタル化ということです。我々、例の漫画喫茶については、ソフトとヒューマンに向いてポイントを移していって、建物というものにそうこだわらずに、まず中身からいこうという判断を今回したんですが、そういう意味から言うと、いろんなものをデジタル化して、ウェブ上にセンターを作って、そこから世界に発信していくというような進め方といいますか、そんなものを構築していくということも一つの戦略なのかなということ。これを参加者の皆さんからも指摘されまして、メディア芸術の分野だけでなく、日本にあるそうした資産というものを、是非、積極的に活用していきたいというふうに思っております。そんなことも一つのポイントとして理解させていただきました。

中川副大臣記者会見録(平成22年2月3日):文部科学省