文化審議会著作権分科会基本問題小委員会(第4回)傍聴記

本日開催された文化審議開著作権分科会基本問題小委員会(第4回)を傍聴してきました。
鳩山総理と川端文部科学大臣著作権保護期間延長について積極的な発言をした後の最初の小委員会の開催であり、さらに基本問題小委員会では著作権保護期間の延長の可否の議論も視野に入っている小委員会なので、保護期間延長に関する発言があるのではないかと思って傍聴した。


しかし、本日の基本問題小委員会では、著作権保護期間に関わる発言は全く出てこなかった。


本日の基本問題小委員会は、有識者へのヒアリングが行われた。
ヒアリング対象者は、(株)モバイルブック・ジェイピー代表取締役会長の佐々木隆一氏と、一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム常務理事の岸原孝昌氏。
音楽配信電子書籍、モバイルコンテンツ配信の現状とそれに関わる課題についての発表と質疑が行われた。

小委員会の様子はTwitterで実況を行ったので、その様子は「#kihonmondai」のハッシュタグをご参照いただきたい。

kihonmondai
http://twitter.com/#search?q=%23kihonmondai

個人的にはいろいろと思うところもあるけれど、このような議論が行われること自体は否定しないので、今後の議論を見守りたいところだ。

今後の展望

本日、著作権保護期間延長に関する発言が無かったのは、正直なところ意外だった。
これによって、少なくとも来年度の通常国会において、著作権保護期間の法改正がなされる可能性は少なくなったと思う。


本日の小委員会の最後に事務局である文化庁から次回の開催日程についての発言があった。
1月に文化審議会著作権分科会を開催するので、その前に1回基本問題小委員会を開催したい、とのことであった。
このスケジュールを考えると、少なくとも今年度は基本問題小委員会の中間報告的なものは提出されないだろう、ということが予想できる。
というのも、これまでの文化審議会著作権分科会の各小委員会の流れを振り返ると、著作権分科会に報告なり中間報告を行う場合は、今の時期、12月頃までにはパブリックコメントが行われていたからだ。
今の時点で中間報告的なものの案が小委員会に提出されていないので、当然パブリックコメントを実施視することは日程的には不可能なので、著作権分科会に中間報告を提出することはまず無いと思われる。
ということは、来年の通常国会著作権保護期間延長の法改正案が提出されることは、まず無いと見ていいだろう。


しかし、だからといって安心できるわけではない。
総理大臣と文部科学大臣が保護期間延長に積極である発言がなされており、そのことは全く変わっていない。
現時点では、スケジュール的に来年の通常国会では保護期間延長が行われる可能性が少ない、ということでしかない。
その後の状況は何も分からないので油断することはできない。


また、法制問題小委員会の方も、ワーキングチームは頻繁に開催されているが、小委員会自体は開催されていないし、開催の案内も現時点ではなされていない。
ということは、基本問題小委員会同様、著作権分科会に中間報告を提出することは無いと思われる。
つまり、フェアユース導入の法改正案も、来年の通常国会に提出される可能性も、まず無いと思われる。


とは言え、小委員会の中間報告にはパブリックコメントは義務づけられているわけではないので、強行突破しようと思えばそれができない訳では無いことも、考えに入れておかなければならないだろう。


今すぐ保護期間の延長がなされる可能性は低いだろうが、安心できない。
そういう状況だと思う。