「ず・ぼん」の全文公開休止

非再販扱いということでも話題になっている、ポット出版の「本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか」を読んだ。

本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか

本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているか

出版の現状についてわかりやすく書かれていて、興味深く読んだ。
だが、本書で一番驚いたのは同書86頁の次の記述。

(2008年、『ず・ぼん』のバックナンバー無料公開は休止した)*1

ず・ぼん』は図書館についての雑誌というか、不定期刊行物で、8号からは毎号買っているし、1度書かせてもらったこともある。
最近は指定管理の話題が多く、自分の興味とは少し違う方向を向いているように感じるが、それでも出るのが楽しみな本だ。
そして、『ず・ぼん』はバックナンバーについて、著者の許諾を得た上で全文を公開している。

ず・ぼん全文記事 | ポット出版
http://www.pot.co.jp/zu-bon/

◎趣旨
ず・ぼん――図書館とメディアの本』のバックナンバーの記事を全文公開します。
公開しているのは、現在発売中の最新刊を除いたバックナンバーで
書き手(著作権者)に了解していただいたもの、です。
どうぞ、活用してください。

ず・ぼん全文記事 | ポット出版

最近の号は毎号買っているので、自分では全文記事を利用する機会はそれほど無かったが、興味深い試みなのでここでも何度か取り上げてきた。

ず・ぼん」の検索結果一覧 - Copy & Copyright Diary
http://d.hatena.ne.jp/copyright/archive?word=%a4%ba%a1%a6%a4%dc%a4%f3


昨年9月にず・ぼん?図書館とメディアの本 (14)が出ても、全文記事にず・ぼん?図書館とメディアの本 (13)の記事が掲載されなかったので、どうしたのだろうと思っていたけど、休止してしまったからだということがようやく分かった。

本の現場―本はどう生まれ、だれに読まれているかの最後に、ポット出版沢辺均氏による著者の永江朗氏へのインタビューが載っているが、その中で沢辺氏が『ず・ぼん』全文公開の休止について次のように語っている。

沢辺 06情報の無料化の項では、本の電子化や情報の0円化についての話があって、ポット出版も取材されているわけだけど、じつは『ず・ぼん』のバックナンバーの無料公開はいまはやめているんですよ。
永江 えっそうなんですか? なぜ?
沢辺 『ず・ぼん』自体の売り上げが下がってきたということと、ネット公開していることに対して何も反応がない、というのが理由。それと、僕自身のインターネット熱が下がってきたということもあるな。

自分自身、全文公開されるのが当然という感覚になっていたので、もっと取り上げれば良かったと後悔している。
14号が出たあとで13号が公開されないままなのも気にはなっていたけど、そのことについて声を上げることもしなかったし。
こういう積極的な取り組みについては、もっともっと取り上げていかなければと改めて思った。
そして、『ず・ぼん』の全文公開が再開することを、心から願います。


なお、ポット出版はこのような取り組みもやっている。

立ち読み&全文公開 | ポット出版
http://www.pot.co.jp/tachiyomiandzenbunkoukai/

こういう取り組みについても、もっと多くの人が注目して欲しいと思う。

*1:休止したと書かれているが、既公開分は今でも公開されている。新規の全文公開を休止したということのようだ。