過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会傍聴記

本日開催された、文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会を傍聴してきました。

文化庁庁 | 過去の記事(審議会・委員会・各種会議) | 2008年 | 文化審議会著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第8期第7回)の開催について
http://www.bunka.go.jp/oshirase_kaigi/2008/chosaku_kako_090106.html

本日の小委員会では、昨年秋に行われた意見募集の結果報告と、文化審議会著作権分科会に提出する小委員会の報告案についての審議が行われました。
意見募集の報告、報告案の審議の両方とも、活発な討議は行われず、いくつかの質問や意見は出たものの、しゃんしゃんで終わりました。
予定では10時〜12時でしたが、11時過ぎには終了しました。


INTERNET WATCHに記事が掲載されていますが、この記事で、ほぼすべてを言い尽くしていると思います。

著作権保護期間の延長については結論を得られず、文化審小委員会
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2009/01/06/22013.html

若干捕捉します。

 一方、過去の著作物の利用円滑化方策に関しては、権利者が不明となっている著作物の利用について、文化庁長官による裁定制度の手続きを明確化するなど、可能なものから早急に制度的対応を実施することが適当だと結論付けている。また、著作物のアーカイブ化については、国会図書館において納本された後にデジタル化できるように法的措置を講じることについて、早期に実現されることが適当としている。

とありますが、どこまで著作権法改正案に盛り込まれるかについては、具体的には述べられませんでした。基本的な方向性としては上記の通りですが、法改正の作業の中でどこまで具体的に盛り込めるかを判断するとのことでした。ですので、具体的な改正案が提示されないと、どうなるかは分かりません。

 著作権保護期間については、2006年9月に著作権関連団体が保護期間の延長を求める共同声明を発表。現在「著作者の死後50年」となっている著作権の保護期間を、欧米などと同等の「著作者の死後70年」に延長するよう訴えていた。この訴えに対しては反対の声も挙がり、2007年3月からは著作権分科会の小委員会で議論が続けられてきたが、保護期間の延長については意見がまとまらなかった。文化庁では、来期の著作権分科会でも引き続きこの問題については議論を進めるが、小委員会の構成などについては現在検討中としている。

記事にもこのようにありますが、保護期間の延長がつぶれた訳ではありません。
小委員会の最後に事務局(座席表で見ると高塩次長と思われる)の挨拶において、保護期間延長について結論がでなかったのは残念であり、今後も検討を続けていきたい、という旨の発言がありました。文化庁としては、あくまで保護期間の延長を行いたい、との意思表示だと、私には思えました。
今後どのような場で検討を行うかは、記事にあるように、未確定です。


また、意見募集の際に行われた「著作物の利用についてのアンケート調査」は、まだ結果が出ていないとのことで、今回の報告案ではその調査の内容は反映されていません。


当面の著作権保護期延長は回避できたものの、いつ再燃するか分からない、という感触でした。