私的録音録画補償金の行方

昨日の朝、朝刊を見て1面に次の記事が載っていたのを見て驚いた。

asahi.com朝日新聞社):ブルーレイにも著作権料を課金へ 文科省経産省が合意 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/0617/TKY200806160327.html

この記事にあるように、昨日の閣議後の記者会見で合意内容が発表されたらしい。
経済産業省のサイトには、記者会見の内容が掲載されている。

甘利経済産業大臣閣議後大臣記者会見の概要
平成20年6月17日(火)
http://www.meti.go.jp/speeches/data_ed/ed080617j.html

補償金というか、ダビング10について述べている箇所は次のところ。

 ダビング10についてですが、予定されていた6月2日(月)の実施が延期をされているわけですけれども、消費者の利便を確保するという観点から、早期の実施が望ましいものであります。オリンピックも近づいておりますし、こうした認識から、事務方に調整を急ぐように私から指示をいたしました。そうしたところ、今般暫定的な措置として、政令改正により、現在市販をされているようなブルーレイディスク私的録音補償金の対象に追加することで、文化庁と合意をいたしました。

 ダビング10の実施日の確定については、総務省の情報通信審議会の場で、関係者間の話し合いが続けられますけれども、この合意がダビング10の早期実施に向けた環境整備の一助となることを期待しております。この措置がというのは、今回のブルーレイの措置がという意味です。
(強調:引用者)

その後の質疑応答でもこの件についての質疑がなされている。
複数回に渡って質疑がなされているので、その部分をピックアップする。

Q: ダビング10の問題ですが、これは著作権団体がHDDに対しても課金すべしという主張をしていたわけですけれども、著作権料の課金の範囲については、どういった形になるのでしょうか。

A: 暫定措置としてブルーレイに課金するということにしました。これは、既に確立されているはずですが、デジタル化しますとコンテンツの持ち主、つまり送るほうで、これは何回まで、それが幾らと全部設定ができるのです。アナログだとできないのですけれども、デジタルだとできるのですから、送り手の自由自在なのです。自由自在になる環境が整うまで、実際に行為としてダビングが行われ、それを利用する対象について、当面、いわば従来のDVD以外の部分を埋めたということでありまして、これはこれで適切な措置だと思います。

Q: おっしゃった暫定的な期間というのは、今回は明示されてないのですか。

A: 特にされていませんが、私が考えるに、デジタル化でコンテンツ送信をするほうの体制が技術的にはとれるのですから、それが整ったということで新たな体制をどうするかということに入れるのではないでしょうか。
(強調:引用者)

ダビング10

Q: ダビング10の件ですけれども、細かいところはまずブルーレイディスクそのものと録画機も課金対象となるのでしょうか。

A: DVDとブルーレイと片方でやれば課金されて、片方でやればされないというのは、不公平な話でありますし、されないほうが全部主流になっていった場合に、全く課金システムが機能しないということになりますから。

Q: 政令改正はいつごろお考えなのでしょうか。

A: これはできるだけ早く対応したいと思っております。

Q: 先ほどの幹事さんの質問の中にも、著作権団体はHDDのほうをしっかり課金すべきではないかという意見が強いのですけれども、今回の経済産業省文部科学省の合意によって、ダビング10の早期実施にめどがついたというふうにお考えでしょうか。

A: 環境整備には資するものと思います。よく考えていただければ、ハードそのものに、例えばハードディスクに何回入れようと取り出せないわけですから、取り出した対象に対して課金されれば、それは権利者の権利が移転するという理屈になりますけれども、中に入っているものに何回できたから何回分寄こせとか、あるいはこれによって複数の人たちが恩恵に浴するからといって、取り出せないものは一人でそこでしか見ることができないわけですから、取り出して物理的に分散できるものに対して課金されるという理屈はわかりますけれども、そうでないというのは理屈の上から理解が難しいでしょう。
(強調:引用者)

ダビング10

Q: ダビング10ですけれども、今回の問題の構図として、文部科学省著作権団体のほうに、経済産業省はメーカーのほうに押されて、それで交渉についているというような構図があるような気がするのですけれども、今回の問題を考えるときに一番大事にしなければいけない部分というのはどの辺にあるのだとお考えですか、ちょっと抽象的な質問ですが。

A: バランスではないでしょうか。それぞれの利用者、権利者のバランスをとるということではないでしょうか。それから、理屈に合ってなければいけないと思います。

私は、知的財産戦略をまとめたときの著作権戦略も私がまとめましたので、私自身は著作権に関しても十分理解をしているつもりです。それで、党におきましても、著作権ダビング10にかかわるチームが議論をしてきました。そこから私への要請も暫定的にブルーレイに課金というものですから、これは党として検討してきた方向もそうではないかと思います。
(強調:引用者)

報道でなされているように、

  • ブルーレイディスクとブルーレイの録画機の両方が課金対象となること
  • HDDは当面は課金対象とならないこと

の2点が読み取れる。
また、ブルーレイディスクと録画機を課金対象とすることがダビング10の実施の為の条件が満たされたと、甘利大臣は認識しているようだ。
また、今回の合意はダビング10に関わる暫定的なものであり、HDDが課金対象とされていないことから、iPod等がどうなるかは、今後を見守っていくしかない。
また、文部科学大臣の会見はまだ文部科学省のサイトには掲載されていない。

大臣会見(渡海紀三朗文部科学大臣)−文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/main_b14.htm

渡海大臣が会見でどのように発言しているのか、記録の掲載を待ちたい。