貸与権管理センター監事ちばてつや氏の貸与権についての無知

マンガ家のちばてつや氏が貸与権についてブログに書かれていました。

貸与権管理センター総会|ちばてつやのブログ『ぐずてつ日記』
http://ameblo.jp/chibatetsu/entry-10098522109.html

ちばてつや氏は貸与権管理センターの監事です。

有限責任中間法人 出版物貸与権管理センター
http://www.taiyoken.jp/

その貸与権管理センターの監事であるちばてつや氏が貸与権について次のように説明されています。

ああ、「貸与権」というのは、簡単に言うと本を貸す時の権利、そう、今、東京や大都市の町のあちこちにあるレンタルコミックやマンガ喫茶、図書館などで貸し借りされている書籍の著作権の事。現在はまだいろいろ問題があるので、センターを中心に、レンタル店、出版社、流通、それに、小説家、マンガ家、写真家などが話し合いをしている最中なんだよ。


(強調:引用者)

何度も指摘してきていますが、通常、マンガ喫茶では著作権法における「貸与」はなされていません、つまりマンガ喫茶には「貸与権」は及びません。
マンガ喫茶で行われているのは、その場でマンガを読ませる行為、閲覧であり、展示に過ぎません。
店内での貸出は「貸与」には該当しません。
そのことは、マンガ家はよく知っているはず。
最初、マンガ家達が書籍・雑誌への貸与権適用を要望した際には、貸与権マンガ喫茶を規制できると思っていた。しかし、貸与権ではマンガ喫茶を規制できないことに気付き、当時まだ店舗数が少なかったが、一部のレンタルCD・DVD店がはじめたコミックレンタルをターゲットに切り替えて、無理矢理法改正を迫ったという経緯がある。
そのため、書籍・雑誌への貸与権適用を盛り込んだ著作権法改正の審議の際には、レンタルCD・DVD店の団体が国会で意見を述べていますが、マンガ喫茶の団体は国会に呼ばれていません。
マンガ喫茶貸与権の適用対象とは関係ないから、国会の審議には呼ばれなかったのです。
繰り返しますが、その場でマンガを読ませるだけのマンガ喫茶には、貸与権は全く及びません。
そして、一般的な図書館においても、貸与権は及びません。
貸与権が及ぶ「貸与」は営利目的、もしくは有料の貸与に限られます。
営利を目的とせず、かつ、無料で行われる「貸与」には貸与権は及ばないのです。
通常、図書館と言った場合は、地方公共団体が設置・運営している公共図書館を念頭に置いている場合が大半だと思います。
そして、公共図書館で行われている貸出サービスは、営利を目的としない非営利のもので、かつ、無料で行われています。
従って、図書館で行われている貸出サービスには貸与権は及びません。


つまり、ちばてつや氏が貸与権の説明でマンガ喫茶と図書館をあげているのは、不適切です。

ちば氏はその後で、話し合いをしていると述べていますが、話し合いの当事者の中にマンガ喫茶と図書館が挙げられていません。
マンガ喫茶と図書館が加わっていないのは貸与権とは関係が無いからでしょう。


さらにその後で

ボクは少しボケているので詳しいことはわからないし、

と書かれていますが、詳しいことが分からないのなら貸与権管理センターの監事を勤めるべきではないし、分からないことに関して不用意な発言はしないでもらいたい。

私は2003年の後半から書籍・雑誌の貸与権の問題をウォッチングしつづけていますし、このブログでも何度も取り上げていますが、漫画界や出版界で貸与権について語る人で、貸与権についてきちんと理解している人は少ない。勘違いや思いこみで、貸与権について不正確なことを述べている人が大半です。
残念ながら、ちばてつや氏もその1人でした。