ブックオフが開けたパンドラの箱

今朝Google Newsをチェックして驚いた。一瞬エイプリルフールネタかと思った。

asahi.comブックオフ「著作者団体に1億円払います」 - 文化・芸能
http://www.asahi.com/culture/update/0401/TKY200803310390.html

朝日新聞の夕刊12面にこの記事は掲載されているが、asahi.comの記事にある弘兼氏のコメントのところは紙面には掲載されていない。
また、スポーツ報知にも記事が掲載されているようだ。

ブックオフ、著作者団体に1億円程度の支払いを提示:社会:スポーツ報知
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20080401-OHT1T00160.htm

こちらにはasahi.comの記事には無い、文藝家協会理事の中沢けい氏の

「1億円という金額にこだわらず、どういうルールで受け取るかを考えていくべきだ」

と言うコメントが掲載されている。
ソースはこれだけなので、分からないところが多い。
でも、これから非常に混乱が起きるのではないかと思う。
記事中では、1億円の支払先として「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」と「日本文藝家協会」の名前があがっているが、支払先の団体はこの2つだけなのだろうか。
また、各団体に1億円なのか、トータルで1億円で、それを各団体で分配するのか、それも分からない。
仮に後者だったとしたら、他の団体も分配をよこせと声を上げるのではないだろうか。
名前が出ていないので、支払先になっているのかどうか不明だが、推理作家協会なんかも、分配をよこせと行ってくるのではないだろうか。
岡本薫氏や三田誠広氏が、「ミステリーは犯人され分かれば読者は満足して、読み返すこともないし、手元に置いておく必要もないから、すぐ新古書店に売ってしまう」という主旨のことを5年以上前から言っていて、それに対する推理作家協会からの反論の声も1つも聞こえてこないので、推理作家自身がきっと自身の小説についてそのようなものだと認識していると思われる。であるなら、新古書店が1億円を支払うというのなら黙っていないだろう。

また、ブックオフで扱っているのは、マンガ、小説だけじゃない。
ビジネス書や実用書、新書、その他諸々の出版物を扱っている。
マンガ家や小説家以外の著者の人たちはどうするだろうか。

いや、本だけじゃない。
音楽CDやDVD、ゲームソフトやゲーム機も扱っているじゃないか。
ブックオフは、ミュージシャン、映画制作者、実演家団体、ゲーム会社に対しては1億円を支払わないのだろうか。そうだった場合、彼らは黙っているのだろうか?

ゲームソフトに関しては、中古販売は合法だという判例が出ている。にも関わらず、本に対してだけ1億円を支払うということに、整合性がとれるのだろうか。

これから、この1億円を巡って、様々な混乱が生じるのではないだろうか。
ブックオフパンドラの箱を開けてしまったように思う。
ただ、開けてしまったパンドラの箱の底に、「希望」が残っているのだろうか。