著作権法のもたらす“一億総犯罪者”化社会

ITmediaで紹介されていた中山先生の講演がスゴイ。

著作権は混迷」「ダメと言ってもネットは止まらない」──東大中山教授 - ITmedia News
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0803/03/news033.html

生で聴きたかった。
ネットについての発言のところも、大いに共感するのだが、私が一番注目したのは次の箇所。

著作権法を侵害したことがない人はほとんどいないだろう。訴える人がいないだけで、形式的には“一億総犯罪者”とも言える」――例えば中山教授が大学の研究室で他人の論文をコピーする行為も、「私的使用の範囲を超えているから」著作権侵害に当たると話す。
(強調:引用者)

私は元々文献のコピーの問題から著作権に取り組むようになったので、コピーの著作権については結構敏感に考えるようになりました。
私たちは日常的にコピーを取っていますが、文献を「著作権侵害」せずにコピーすできる非常に限られた範囲に過ぎず、「著作権侵害」してコピーを取るケースは実は少なく無いということを、著作権法の大家である中山先生が、中山先生が「大学の研究室で他人の論文をコピーする行為」を「著作権侵害に当たる」と話されたことについては、感動を覚えます。
中山先生ですら、ご自身が「著作権侵害」を行っている可能性があるのです。「著作権者」を自称する人たちもそれは同じです。
中山先生はそれを「一億総犯罪者」と表現していますが、中山先生ご自身を含めて一億が総犯罪者となってしまうのであれば、それはその法律に欠陥があるのだと私は思います。
そして、現在文化審議会著作権分科会で議論されれている事項の大半は“一億総犯罪者”化社会をより一層推し進めるもののように思います。
そのような中で、中山先生が文化審議会著作権分科会の委員を務められていることは、とても大きいと思います。

著作権法

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