知的財産権では守れないもの

興味深いニュースがあった。

日本の伝統文化もコピー 中国、浮世絵や刀を模造 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080126/chn0801260951000-n1.htm

中国で浮世絵や日本刀が「模造」されていることを批判的に報じているが、現状の知的財産権の仕組みの中では、特に問題は無いと思う。
日本においても海外の「伝統文化」が「模造」されていないとは言い切れないでしょう。
現在の知的財産権の仕組みの中では、「伝統文化」を「保護」することはできないのだから。
「伝統文化」は知的財産権では保護されないが、最近の著作物、発明は著作権や特許などで保護される。
知的財産権が先進国による収奪の仕組みであるという指摘もある。
名和先生の次の文献などが参考になると思う。

名和 小太郎. “シャーマン宣言”. 情報管理. Vol. 47, No. 1, (2004), 42-44.
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/47/1/47_42/_article/-char/ja

名和 小太郎. “アボリジニー作品の著作権”. 情報管理. Vol. 46, No. 2, (2003), 123-124 .
http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/46/2/46_123/_article/-char/ja

そう言えばこのようなニュースもあった。

ピラミッドに“著作権”エジプトが検討 - 社会ニュース : nikkansports.com
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20080112-306383.html

ピラミッドに著作権と言われると、とんでもない主張だと思うが、知的財産権では「伝統文化」(ピラミッドが「伝統文化」か否かはともかく)を守ることができないと言うことを考えると、このような主張は今後いろんなところから出てくると思う。
昨年、国連で「先住民族の権利に関する宣言」が採択されているが、それもこのような動きの後押しをするのではないかと思う。
自分の中でも答えは出ていないけど、この問題についても考えていきたいと思う。