過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会議事録を読む−実演分野

実演分野では社団法人日本芸能実演家団体協議会椎名和夫氏からヒアリングを行っています。

文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(第2回)議事録・配付資料−文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07050102.htm

配付資料
社団法人日本芸能実演家団体協議会(PDF:119KB)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/gijiroku/021/07050102/002.pdf

椎名和夫氏の発言

しかしながら、一方で過去の著作物等の利用にニーズが偏重しますと、これはちょっと古い言葉ですが、実演家の機会的失業ということももたらしかねず、また実演家を取り巻く事業者等のビジネスの妨げになる恐れもあります。つまり過去の著作物等の円滑な利用と、実演家の就業機会の喪失やビジネスとの間でバランスのとれた方策が求められると思います。

過去の著作物がどんどん利用されると、その分現在の著作物(実演)が利用されなくなる、という面は確かにあるかもしれません。でもそれがどの程度のものなのか、それを示してもらわないと議論にはならないと思う。
また、現在の実演家のビジネス機会を守るために過去の著作物の流通を阻害する、と言う方向にいってしまうと、それは本末転倒だと思います。

権利者団体として集中管理の整備に向けて、様々な努力を重ねている中で、安易に報酬請求権化するなどの権利制限の方策をとることは、権利者団体が集中管理事業に取り組むインセンティブを大きく損なうことにもなりまして、これは知財立国の考え方にも逆行する暴挙と言わざるを得ません。

権利者団体が集中管理の整備を行うのは、ある意味「義務」ではないでしょうか。その「義務」を果たしてこなかったからこそ報酬請求権化を求める声が出てくるのではないでしょうか。

これは度々いろんな機会に申し上げていることなんですが、許諾権というのは拒否権ではありません。

いいえ、許諾権は「禁止権」としての側面も持っています。そして実際に「禁止権」として機能していて、数多くの作品が「許諾」されないため、「封印」されています。

実演家の保護期間については世界に先駆けて延長して頂ければと考えています。

椎名氏にではなく、「国際協調」「国際標準」を理由に著作権保護期間の延長を主張されている方々に問いたいのですが、このような「国際標準」から外れる、「国際協調」を乱す、実演家の保護期間の延長には、当然反対されるのですよね?