仕組みを作り、機能させるのが先決

貸与権管理センターの状況を見ていると、権利を強化したり・拡大する前に、まず仕組みを作って機能させることを先にしなければならない、ということがよく分かる。
国民会議のサイトの「保護期間延長「賛成」「反対」それぞれのワケ」で「利用の促進をめぐって」の中に、関連する項目がある。
延長賛成派は

利用の許諾がとりにくい点は、一括の許諾システムやデータベースの整備に取り組む。法制度を見直して、公共性の高いものは(許諾は必要ないが使用料を支払う)補償金制度への移行も検討すべきだろう。

延長反対派は

海外作品も含めた「一括の許諾システム」や「補償金制度への移行」は、現実にいつ実現するのか。漠然とした目標と引き換えに期間延長するのはおかしい。

と述べている。
貸与権管理センターの状況を考えれば、反対派の意見の方が納得できる。
仮に著作権保護期間を延長するとしても、その前に「一括の許諾システム」を作ってそれが機能し、「補償金制度への移行」が完了してからだ。
そうでないと、貸与権の二の舞、権利だけできて、許諾体制が機能しない、という状況になってしまう。
2年前の法改正で何が起きたのか、著作権延長問題の議論をする際には、目の前で起きていることを、しっかりと踏まえた上で行って欲しい。