法制問題小委員会を傍聴しました

昨日開催された、文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(第7回)を傍聴しました。

文化審議会の傍聴は始めて。
平日開催だと普段は仕事があるので傍聴できないのですが、今週は夏休みなので傍聴できました。
今回の議事は

(1)文化審議会著作権分科会における意見の概要
(2)意見募集の結果報告
(3)文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(IPマルチキャスト放送及び罰則・取り締まり関係)報告書(案)の検討・取りまとめ
(4)文化審議会著作権分科会法制問題小委員会(私的複製・共有関係及びワーキングチームにおける
検討結果)報告書(案)の検討
(5)その他

でした。
基本的には報告事項が中心で、ほとんど議論は行われず、2時間の予定が1時間10分程度で終わってしまった。
正直なところ、IPマルチキャスト放送についてはあまり関心がなかったので、これまでの審議経過はそれほど注目していなかったのだが、罰則の強化が盛り込まれていたのは見逃していた。
特許や商標などの他の産業財産権法・不正競争防止法の罰則が強化されるのに足並みを揃えて、強化されることが望ましいと、報告書に盛り込まれることになった。
2004年(平成16年)の法改正で以下のようになったばかりにもかかわらず、

  懲役 罰金 併科
個人罰則 5年以下 500万円以下
法人罰則 - 1.5億円以下 -

次のように罰則が強化される方向で進んでいる。

  懲役 罰金
個人罰則 10年以下 1,000万円以下
法人罰則 - 3億円以下

罰則についての諸外国の情勢が配布資料に記載されていたが、個人罰則の罰金刑は様々だが、自由刑(懲役)については、米国・韓国が5年以下、ドイツ・イタリア・中国が3年以下、イギリス・フランスが2年以下と、このまま法改正がなされると、日本が一番重い罰則になる。
この報告書(案)に対する意見募集は既に終わっているので、このまま法改正が行われる可能性は大きい。

なお、意見募集が行われた際には、イギリスの罰則が「10年以下」と記されていたらしいが、それは間違いだったと今回訂正された。
文化庁の説明によると、参照した文献が間違っていたとのことだが、これは重大な間違いだと思う。
10年以下の懲役が、既に他の国で実行されているというのと、いないというのでは、この罰則強化の妥当性を判断するのに大きな影響を与えると思うのだが。
本当に単純な間違いなのか、少々疑わしく思う。
審議会の議論はきちんとチェックしていかなければならないとあらためて思った。

著作権手続きの簡素化を IP放送で文化審が報告書 [CHUNICHI WEB PRESS]
http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006081701002490.html