著作権に鈍感な人、敏感な人
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/02/07
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著作権を考える上でのヒントもあり、なかなか興味深く読んだ。
「次の10年への三大潮流」として、「インターネット」「チープ革命」「オープンソース」をあげているが、その中の「チープ革命」について述べているところで
表現行為のためのコスト的敷居は年々低くなり、道具は誰にでも使える方向に進化するから、表現者は増加の一途をたどる。
(15頁)
とあるが、これは岡本薫氏が言うところの「一億総ユーザー、総クリエーター」と同じことだと思う。また「ウェブ進化論」の第4章は「ブログと総表現社会」である。
名和小太郎氏は「ディジタル著作権」のなかで現行の著作権制度の元である「ベルヌ体制」について、その前提条件を列挙しているが、その最初の2つは次のようなものである。
(1)著作物は著作権のオーラを発している.つまり著作物には著作者の人格の発露が見られる.(この命題は暗黙のうちに,次のように捩曲げられる.)したがって,オーラをもつ著作者−天才−が著作物を作る.
(2)天才が著作物を作るのであれば,天才の数は限られているために,その著作物はつね過少生産のリスクをもっている,したがって著作者には生産のインセンティヴを与えなければならない.(19世紀の天才は陋巷のうちに窮死していた!)
(85-86頁)
梅田氏や岡本氏は、ベルヌ体制の前提条件がもう崩れているということを指摘しているのだと思う。
- 作者: 名和小太郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2004/03/16
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梅田氏の「ウェブ進化論」のなかで、著作権について言及している箇所があるのだが、その記述が引っかかってしまった。
それは次の箇所。
著作権についての論争がヒートアップしやすいのは、議論の当事者が、著作権に鈍感な人と著作権に極めて敏感な人とに別れていて、その間に深い溝があるからだ。そしてその溝は、「その人たちが何によって生計を立てているか」「これから何によって生計を立てたいとかんがえているか」の違いによって生まれている場合が多い。
(182-182頁、強調引用者)
梅田氏は、著作権に敏感だからいい、鈍感だから悪い、ということは言っていないが、「敏感」「鈍感」という表現に引っかかってしまった。
さらに、その溝が何によって生計をたてているかによるとしているので、プロの表現者(小説家・作曲家など)やコンテンツホルダーが著作権に「敏感」という風に読むことができる。
しかし、著作権を巡る動向をウォッチングしてきた私にとっては、彼らは「敏感」であったとしても、必ずしも著作権について理解しているとは限らない、むしろ著作権を自分たちの都合のいいように曲解している場合も多い、と感じる場面が多い。
また「「パクリ・盗作」スキャンダル読本」で取り上げられているような「パクリ検証サイト」を運営している人も「敏感」といえば「敏感」だと思う。
そう考えると、「敏感」「鈍感」と単純に分けられないのではないかと思う。
- 出版社/メーカー: 宝島社
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