日本化学会発行論文誌掲載論文の著作権

日本化学会が11月16日付けで次の案内をウェブサイトに掲載しています。

当会論文誌の著作権の帰属について/日本化学会
http://www.csj.jp/journals/journal-copyright.html

現在では投稿規定に著作権譲渡が明記されているが、投稿規程に著作権譲渡を明記する以前の掲載論文についても、日本化学会に著作権が帰属すると考える、そして著者および遺族の異議は2006年3月末まで受け付けるとのこと。
この案内は、前に批判的に取り上げた医学書院の社告とほぼ同じものです。

社告 著作物の管理・運用について
http://www.igaku-shoin.co.jp/misc/a30002.html

日本化学会がこの案内を出したのは

日本化学会は、政府の支援を受けて、論文誌「日本化学会誌」およびその前身、「Bulletin of the Chemical Society of Japan」、「Chemistry Letters」の3誌を創刊号に遡って、電子化し公開することになりました。

とのことが背景にあると思います。
私も、過去の論文を電子化して公開することは、非常に意義があることだと思います。是非とも推進して欲しいと思うと同時に、政府の支援を受ける以上、アクセス制限を設けずに、誰でも無料で利用できる様にして欲しいと思います。
しかし、著作権についてこのような案内だけですませてしまうことに対しては、とても疑問に思います。
日本化学会は

しかしながら、当会はこれらの期間にあっても、著作権は当会に帰属するものと考え、電子版を公開します。

としているが、そう考える根拠はどこにあるのか、それをきちんと示してもらいたい。
再度述べますが、私は日本化学会発行論文誌の創刊号からの電子化及び公開は、非常に意義のある事業だと考えます。だからこそ、著作権についてもきちんと対処していただきたいと思います。