文字・活字文化振興法は再販護持のための法律なのか

文化通信に気になる記事が掲載されていた。

特殊指定、廃止含め見直しへ。第2項がポイントに。
現時点での再販見直しは考えず。
新聞協会、現行維持へ公取委に声明。活字文化振興に逆行。
文化通信. 2005年11月7日(第3621号)1面.

11月2日に行われた公正取引委員会の定例記者会見で、上杉事務総長が新聞業などの特殊指定の見直しに言及したことと、それに対して新聞協会が反対の声明を出したことについての記事。
この定例記者会見の記録は、公正取引委員会のサイトに掲載されている。

事務総長定例会見記録(平成17年11月)(PDF)
http://www.jftc.go.jp/teirei/0511.pdf

この会見については、11月2日付けの朝日新聞でも報じられている。

asahi.com独禁法特殊指定 公取委、見直しへ 新聞協会は抗議声明 - 社会
http://www.asahi.com/national/update/1102/TKY200511020358.html

私が文化通信の記事に注目したのは「活字文化振興に逆行」と言う見出しが目に入ったからだ。
この見出しは、新聞協会の声明につけられたものだ。
新聞協会の声明は、新聞協会のサイトに掲載されている。

新聞の特殊指定見直し表明に関する新聞協会の声明
http://www.pressnet.or.jp/info/seimei/seimei20051102.html

声明を見てみると、後半で文字・活字文化振興法を持ち出して、特殊指定見直しに反対している。
その部分を引用する。

 本年7月に施行された文字・活字文化振興法は、「すべての国民が等しく文字・活字文化の恵沢を享受できる環境を整備すること」を基本理念に掲げ、そのための施策の実施を国と地方公共団体に義務づけた。

 特殊指定の見直しは、著作物再販の存続を決めた公取委自身の4年前の決定と矛盾するばかりか、文字・活字文化振興法にも背く。官民あげて活字文化の振興に取り組む法制度がつくられた矢先に、時代の要請に逆行するような動きには強く抗議せざるを得ない。われわれは、現行規定の維持を強く求める。

私には、特殊指定の見直しが新聞業界にどのような影響を与えるのか、よく分からない。新聞協会が反対するのだったら、きちんと反論すれば良いと思う。
しかし、それへの反対のために「文字・活字文化振興法」を持ち出してきたことに対しては、疑問を感じる。
「文字・活字文化振興法」を特定の業界を保護するための法律であってはならないと、私は思います。
特殊指定の見直しに反対したいのなら、正々堂々と自分たちの主張を述べればいいと思う。その主張が多くの人の賛同を得られるものであれば、公正取引委員会と言えども、それを押し切ることはできないだろう。
「文字・活字文化振興法」は再販制度護持のための錦の御旗であってはならないと私は思います。