第8回法制問題小委員会

9月30日に開催された法制問題小委員会の記事が出ている。

iPod課金、反対が賛成の4倍超-パブリックコメント中間報告 - CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000047715,20087976,00.htm

ITmedia +D LifeStyle:「iPod課金」――実現したら1台あたり400円プラス?
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0509/30/news075.html

まず、なぜこのタイミングでパブコメの中間報告をしたのか、文化庁のスタンスに疑問を感じる。
平成15年の意見募集の際、書籍・雑誌への貸与権導入への賛成意見を提出するように出版業界に働きかけたことが、新潮文庫版「だれが「本」を殺すのか」下巻(isbn:4101316368)に書かれているが、今回の中間報告も、音楽関係の権利団体関係者に対して、このままだとiPodには課金できませんよ、という意見提出の働きかけの一環ではないか、と疑いたくなる。

また、ITmediaの方の記事で詳しく書かれている「日本音楽著作権協会日本芸能実演家団体協議会日本レコード協会の3団体が提出した「ハードディスク内蔵型録音機器等による私的録音から著作権者・著作隣接権者が受ける経済的な影響」と題された資料」については、3団体が何でこの資料を提出したのか、その意図が分からない。
ITmediaの記事によると

iPodのデジタルオーディオプレーヤーが著作権法第30条1項の適用を受けない(複製権の許諾を新たに必要とする利用形態であると仮定する)、あるいは第30条2項の適用を受けた(私的録音補償金制度の対象に含む)ケースを想定し、どれだけの経済的な影響が著作権者・著作隣接権者に発生するかを試算したもの

らしいが、この試算に何の意味があるのだろう。iPod私的録音補償金を課金したらこれだけ収入が見込まれます、とか、iPodに録画する際には私的複製の対象から外して個別に許諾を得なければならないようにしたらこれだけの収入が見込まれます、という試算をしても、「はい、そうですか。それで?」としか言いようがない。特に後者の前提条件には何の意味があるのだろうか? そんな非現実的な仮定での試算を行う時間があるのなら、もっと意味のある試算をしてもらいたい。
私が知りたいのは、iPod私的録音補償金を課金しなかった場合、どれだけ権利者に不利益をもたらすのか、それが具体的にどの程度の金額の被害になるのかだ。
もし、権利者に膨大な被害をもたらすのであれば、何らかの補償を検討せざるを得ないが、これだけの利益が見込まれますという額を提示されても、補償が必要かどうかの判断はできないでしょう。
iPodへの補償金適用を求めるのなら、納得できるだけの資料を提示してください。