15年間の検討

先日コピーがとれなかった文献を、改めて図書館に行ってコピーしてきました。
そのうちの1件がこれ。

小泉博. 私的録音録画補償金制度誕生の経緯が語るもの.
コピライト, 1996年8月号, 1p.

著者の小泉博氏は私的録音補償金管理協会理事長。(当時)
私的録音録画補償金制度は、1976年に日本芸能実演家団体協議会文化庁長官に意見書を出してから、制度の設立までに15年もかかったことと、15年も検討したにもかかわらず、結局アメリカからの外圧がなければこの制度ができなかったということに対して、苦言を呈している。

 こうして記録をたどってみると、著作権界に於ける一流の法学者や学識経験者が加わっての正式な記録に残る86回に及ぶ討議、代償数回にわたる海外調査団の派遣、これまた数回にわたる公的私的な録音録画の実態調査、及びこれらに付随する記録や報告書の作成配布等々、この補償金制度の誕生のためには気の遠くなるようなエネルギーが費やされていたことが解る。

私にとっては、これだけのエネルギーを費やしたにもかかわらず、なんで消費者・利用者が納得して補償金を払うだけの理由・根拠を、権利者側が提示できていないのか、そっちのほうが不思議です。