復刊ドットコム奮戦記

会員の投票により、絶版本を復刊・販売しているサイト、復刊ドットコムの舞台裏を、運営者であるブッキングの専務である佐田野渉氏が紹介しています。

復刊リクエストから、出版社・著者との交渉を経て、復刊にいたるまでの過程が、とても面白くて、一気に読みました。
とある作家との復刊交渉のエピソードの中で

著作物は法的には著作権者の物ではあるが、それをリリースした後は、道義的には読者のものでもあるはずという思いを伝えました。
(174ページ)

とありますが、このような思いで復刊事業を行っていることに、非常に共感を覚えました。(残念ながら、この作者との交渉は実りませんでしたが)

また本書の最後の方で、「復刊の最前線からみた出版権と著作権」についてもふれています。(246-250ページ)
出版社や著作権者と復刊交渉を行っているので、この問題は非常にデリケートだと思いますし、必ずしも著者の意見に全面賛成というわけではありませんが、

しかし、合理性を欠いた世間体や感情で、著者と読者の出会いが失われることは哀しいことです。

とか

もはや個々の企業権益よりも、日本の読書人口を育てる視点が、業界自らを守る礎となることでしょう。

という意見には賛同します。

他にも興味深いエピソードや、これまで知らなかった出版界の仕組み・動きなども紹介されていて、とても興味深く読みました。

本が好きな人には是非とも読んでもらいたい一冊です。