「人権」の次は「人間の尊厳」
- 作者: 神谷信行
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2005/04/01
- メディア: 単行本
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しかし本書の著者の神谷信行氏はその上をいき、「人間の尊厳」を持ち出してきた。
序章のタイトルが「作品は「人間の尊厳」から生まれる」で、
まず著作物はいったいどこから生まれてくるのかを考えて見ましょう。
(中略)
私たちが持っている「人間の尊厳」というところから作品が生まれてくるのだと
思います。(本書2ページ)
ここに、ものを生み出す原点、著作物が誕生してくるルーツがあると思います。その原点とは「人間の尊厳」と言うべきもの。(本書8ページ)
と述べる。
そして、序章では「人間の尊厳」について述べていくが、著作物・著作権と「人間の尊厳」の関わりについては説明せずに序章は終わってしまう。
神谷氏にとっては、説明の必要が無いぐらい自明のことなのだろう。
私はそうは思わないが。
しかし、「人権」だとか「人間の尊厳」といったものを持ち出されると、なかなか反論はしづらい。
現代社会において、「人権」とか「人間の尊厳」を否定出来る人は、ほとんどいないだろう。私も否定できない。
それは錦の御旗のようなものだ。
そして、それに反対するものは「賊軍」ということだ。
つまり、「人権」だとか「人間の尊厳」は反対意見の封じ込めの為に持ち出されているのではないか、と私は思う。
なお、最近になって、岡本薫氏は著作権は「人権」だ、とは言わなくなった。
代わりに「法律ルール」「民主主義」「国際条約」等を持ち出してきた。
しかしこれらの言葉も反対意見封じ込めの為に使われているという点では、変わらない。