「非営利・無料」の「演奏」と「非営利・無料」の「貸与」

音楽CDでレッスンのダンス教室「著作権侵害」 最高裁 - asahi.com : 社会
http://www.asahi.com/national/update/0928/036.html


音楽著作権:ダンス教室の「演奏権」侵害認める 最高裁
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20040929k0000m040027000c.html


ダンス教室側の敗訴確定 楽曲の著作権侵害訴訟
http://www.sankei.co.jp/news/040928/sha103.htm


ダンス教室で音楽無断使用、最高裁著作権侵害を認定
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040928i513.htm

書籍・雑誌への貸与権の適用により私立大学の図書館が影響を受けるのではないかと小倉弁護士が指摘した際に、その根拠として上げていたのがこの裁判。
著作権法38条で非営利・無料の上演等は権利制限の対象となっていて、非営利・無料の演奏も38条で権利が及ばないとされている。
貸与についても第38条第四項で「営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合」は権利が及ばないとされているが、この解釈について民主党川内議員らが提出した「今国会提出の著作権法の一部を改正する法律案に於ける暫定措置廃止後の法律の運用に関する質問主意書」に対する答弁書で明らかになっている。
まず「営利」に関しては

法第三十八条第四項 に規定する「営利」とは、業としてのその貸与行為自体から直接的に利益を得る場合又はその貸与行為が間接的に何らかの形で貸与を行なう者 の利益に具体的に寄与するものと認められる場合というものと解される 。

とある。つまり、「貸与行為」そのものから利益を得ない場合は「非営利」と言うことだ。
次に「料金」に関しては

入館料その他図書館資料の利用に対する対価を徴収している場合において、当該対価が、書籍又は雑誌の貸与に対する対価という性格を有するものではなく、これらの施設の一般的な運営費や維持費に充てるための利用料であると認められる場合には、著作権法(昭和四十五年法律第四十八号。以下「法」という。)第三十八条第四項に規定する「料金」に該当しないものと解される。

とある。つまり、「貸与」に対する「対価」として徴収されるものが「料金」である、ということだ。

そこでこの政府答弁を今回の判決に当てはめて考えてみると、最高裁は、ダンス教室がCDの演奏行為で直接利益を得ている、もしくは、ダンス教室の料金がCDの演奏に対する対価という性格を有している、と判断したということになる。

ただ、今回の裁判は「演奏権」が問題となったもので、「非営利・無料」の「演奏」に関しては前述の通り第38条であり、第38条と第38条第4項とでは「営利」と「料金」について異なった解釈をする、という可能性もあるのだが。