だれが「本」を殺すのか 検死篇(下)

プレジデント2004年5.17号佐野眞一氏の「だれが「本」を殺すのか 検死篇(下)」が掲載された。
検死編の(上)には文化庁によるパブリックコメントの操作をすっぱ抜いていたが、今回の(下)にはそれ程のインパクトは無かった。
最初のページに

貸与権」とは、レンタル事業者が著作権料を払うと主張しても、著作権者が貸与を禁止できる強力な権利だ。

とあって、私がこれまでしつこく言ってきたことをきちんと書いた人が出てきたのか、と喜ばしく思ったが、本文中にはその点に関する言及は無かった。
今回は、ブックオフのレンタル事業参入、糸賀氏へのインタビュー、「出版十一社の会」の代表的人物として、新潮社取締役石井昴氏へのインタビュー、そしてパブリッシングリンク社長の松田哲夫氏のインタビューで構成されている。
糸賀氏へのインタビューの見出しが「感情の対立が生む「読書ハラスメント」」で、私の知っている範囲ではマスコミに「読ハラ」という言葉が登場したのはこれが初めてだと思う。しかし、私はこれまで「読ハラ」という言葉を批判してきたが、佐野氏は特に批判的ではないようだ。
また、パブリッシングリンクの「自動消去ファイルの販売」についても、佐野氏は肯定的とまでは言えないものの、批判的なスタンスは取っていない。
それらの点が私にとっては物足りなく感じた。
しかし、5月末に新潮文庫から出る文庫版の「だれが「本」を殺すのか(上・下)」には、検死編上・下に大幅な加筆をして収録されるそうなので、最終的な評価はそれを読んでからにしよう。