図書館を糾弾する前にすべき事

igiさん(id:igi)の日記より

id:solarさんご指摘のとおり、最近は、書籍も文庫も新書もDVDもCDもすぐになくなってしまうものが多い。コンビニ的。こういった点になんの解決も与えることなく権利の強化ばかりに気をとられていたらアクセスできない情報が増えるだけだし、売上もあがらない。潜在的需要に対して適切な供給をすることができない業界に明るい未来などあるわけがない。

id:solar:20031002#1065057367
これを読んで、前から書かねばと思っていたことを書きます。
ただし、これは三田誠広氏というより、推理作家協会への反論になります。

図書館への私の提言(ISBN:4326098287)の197〜198ページ。

推理作家協会の提案とは、発売後六ヶ月間の「貸出猶予」を図書館に要望できないかというものでした。
 これは複本問題の解決というテーマを、さらに一歩、推し進めた提案です。確かに、本が売れるのは、発売後、半年間が勝負です。先にお話したように、書店の店頭に置いてある本は、出版社が置かせてもらっているもので、取次や書店が購入して販売しているものではないのです。そして、その置かせて貰っている本の返却の期限が、六ヶ月ということになっています。
 この期間に売れずに返本された本は、出版社の倉庫でデッドストックになるというのが、本の運命です。この期間に、本が売れるかどうかが、出版社にとっても、作家にとっても、生きるか死ぬかの分かれ目なのです。

出版後六ヶ月に店頭で買える本はよっぽど売れている本に限られるのではないか、というのが私の実感ですが、それを主張するだけのデータを今は出せないので、それは置いておきます。
それはさておき、出版後六ヶ月が勝負というのは、誰が決めたのでしょうか。
一読者としては、読んでみたいと思った本が、出版後六ヶ月以上過ぎているので書店で買うのが難しい、という状況は困ったもので、こんな状況は望んでいません。*1
この状況を作りあげたのは誰なんでしょう。図書館ではないですし、読者でも無いです。出版社なり、出版流通なりがこの状況を作り上げたのではないでしょうか? その出版流通の状況を改善するための活動をせずに、図書館に対して文句をつけるのは、建設的とは思えません。図書館を糾弾する前に、出版社や出版流通に対してもっと主張すべき事があるのではないでしょうか。

*1:最近はbk1などのオンライン書店で買うことができるので、多少は改善されていると思います