サイゾーの著作権の記事

雑誌「サイゾー」の2007年1月号に興味深い記事が掲載されている。

サイゾー 2007年 01月号 [雑誌]

サイゾー 2007年 01月号 [雑誌]

[side B]
銀河鉄道999』にも盗作疑惑!?著作権とクリエイティビティの関係
長岡義幸:取材・文
サイゾー. Vol.7, No.1, p.108-109, (2007)

著作権保護期間延長の主張や、槇原敬之氏に対して「盗作だ」という主張をしている松本零士氏の代表作「銀河鉄道999」のコマが、作画・貴志元則氏、原作・宮田雪氏のマンガ「恋獄漂流」のコマにそっくりだということを、紹介している。「銀河鉄道999」が描かれたのは「恋獄漂流」よりも後。

恋獄漂流 (別冊エースファイブコミックス)

恋獄漂流 (別冊エースファイブコミックス)

しかしこの記事では、見出しと違って、松本氏を一方的に非難しているわけではない。
松本氏に取材を行い、「模倣」はダメだが「真似」は認めても良いなど、松本氏の「真意」を伝えている。
詳しくは、この記事を読んでもらいたい。

私は、松本氏の言い分に納得しているわけではないが、松本氏が「真似」を認めるというのであれば、その点から話していくことができるのかもしれない、と少し期待を抱いた。

なお、この記事を書いている長岡義幸氏は、出版分野で私が最も信頼している記者の一人だ。
この2冊は、共感を覚える箇所が多かった。興味のある方は、是非とも読んでいただきたい。

出版をめぐる冒険―利益を生みだす「仕掛け」と「しくみ」全解剖

出版をめぐる冒険―利益を生みだす「仕掛け」と「しくみ」全解剖

出版時評ながおかの意見1994‐2002

出版時評ながおかの意見1994‐2002

追記

サイゾーが「お詫び・訂正」を掲載しています。

ウルトラサイゾー>「サイゾー」2007年1月号内容
サイゾー1月号の記事に関する
松本零士氏、関係者へのお詫び・訂正
http://www.ultracyzo.com/cyzo/contents/0701/index.html

次のエントリを参照してください。
http://d.hatena.ne.jp/copyright/20061219/p4

サイゾーと言えば

サイゾーと言えば、この件にふれないわけにはいかない。

音楽配信メモ オリコンが自分たちに都合の悪い記事を書いたジャーナリストを潰すべく高額訴訟を起こす
http://xtc.bz/index.php?ID=396

サイゾーは毎号買って読んでいるけど、正直当該の記事は、音楽配信メモの該当部分の引用を読んで、「そんな記事もあったかも」という印象。
この程度の記述で5000万円の損害賠償訴訟とは驚く。それなら自分がこれまでここで書いてきたことも、それくらいの損害賠償を請求されてしまうかもしれない。
ソースが音楽配信メモしか無いので、現時点では何とも言えないが、今後もしっかりと注目していきたい。

引用に承諾は不要です

ということで、烏賀陽弘道氏のサイト、UGAYA Journalを見てみた。

UGAYA Journal.
http://ugaya.com/private/welcome.html

一番したの記述に目がいってしまった。

○意見や感想をきかせてください。また、記事の引用は必ず事前に承諾を取ってください。

烏賀陽弘道
「引用」する際に著作者の「承諾」を取る必要はありません。
著作者に無断で行えるのが「引用」です。

サイゾーがお詫び・訂正

上記の「サイゾーの著作権の記事」で紹介した記事について、サイゾーが「お詫び・訂正」を掲載している。

ウルトラサイゾー>「サイゾー」2007年1月号内容
サイゾー1月号の記事に関する松本零士氏、関係者へのお詫び・訂正
http://www.ultracyzo.com/cyzo/contents/0701/index.html

詳細は、上記URLを参照していただきたい。
ポイントは、

P109に掲載した『恋獄漂流』の1コマは、2005年の単行本化の際に加筆されたものであること

松本氏が「星空を駆ける列車」のを公に発表したのは、1977年の『銀河鉄道999』ではなく1971年の『銀河鉄道の夜』(原作/宮沢賢治、希望の友4月号、潮出版 )であり、貴志元則氏の『恋獄漂流』(72年)よりも前であること

の2点。
これが正しいのであれば、記事の内容についても、考え直さなければならない。
長岡氏の記事には信頼を置いておいたので、少々とまどっている。
事実関係がどうなっているのか、次号できちんとした説明をしてもらいたい。