国民会議シンポジウム

著作権保護期間の延長問題を考える国民会議第1回公開シンポジウムに参加してきました。
福井弁護士の保護期間延長反対の講演、パネルディスカッションでの富田さんのお話、最後のレッシグ教授からのメッセージには感動しました。
保護期間延長賛成はの意見には、根拠が乏しく、全く共感を感じませんでした。
このようなシンポジウムが公開の場で開催されたことは、とても良いことだと思います。
今回のシンポジウムは第1回ということなので、今後も開催されると思います。
国民会議の活動に、期待しています。

シンポジウムへの不満と次回以降への要望

しかし、今回のシンポジウムに不満が無いわけではありません。
質疑の際にどなたかが言っていましたが、持てる者と持てない者の対立に矮小化されてしまった観があります。
著作権というのは一部の職業的著作者のためだけの権利ではありません。これまでにも書いていますが、誰もが著作権者であって同時に誰もが著作物の利用者であるのです。そのことを前提にしない限り、まともな議論はできません。そのことを明確に述べていたのが、山形浩生氏ぐらいだったのが、残念です。
その方向に行ってしまったのは、延長賛成はの意見に引っ張られてしまった面もありますが。

特に、三田誠広氏は、著作権を語る資格は無いと思います。
星の王子さま」の著作権がフランスでは存続していながら日本では消滅していることを「野蛮だ」と批判しているその口で、自分が「星の王子さま」を翻訳したことについて、「その時は著作権は短い方が良いと思った」というのは、恥知らずだと思う。
自分がその「野蛮だ」と批判している行為を自分でやっていることについて、自覚できていないのは、ご都合主義過ぎないか。
自分が他者の著作物を利用する場面、自分の著作物が他者によって利用される場面、その両方の場面を念頭に置き、その両方の場面で自分の立場を変えることなく考えなければ、ちゃんとした議論はできないでしょう。

また、ディスカッションのパネリストの大半が職業的著作者だったというのも「国民会議」というのにふさわしいのかどうか、疑問です。国民的議論は、職業的著作者の間だけでする者ではありません。一般の人たちをどう巻き込んで行くのかがとても重要だと思います。

さらに、会場からの意見でもありましたが、著作物は小説・マンガ・音楽といった芸術やエンターテイメントの分野だけではありません。ブログもそうですし、学術論文などもあります。対価を求めることなく生まれる著作物もたくさんあります。それらにも著作権は及ぶのです。今回のシンポジウムでの議論は、それらには及びませんでした。

今回は第1回目と言うことなので、次回以降、これらのことが改善されることを期待しています。