審議会の問題点

三田誠広氏のホームページ「犬との別れ/その他」創作ノート46/3付けより

レコードの逆輸入禁止については、アジア諸国に廉価に日本の音楽を提供するために不可欠な措置である。反対している人が心配するアメリカやヨーロッパからの輸入が禁止されるわけではない。

三田氏は日本文藝家協会常務理事で同協会の知的所有権委員長の立場であり、文化審議会著作権分科会の委員になっている。
三田氏は書籍・雑誌への貸与権適用を主張する立場であったが、音楽CDの環流防止措置については、ニュートラルな立場であるはずだ。
しかし、三田氏の見解は「音楽CDの環流防止措置」推進側の意見をそのまま受け入れている。
この見解に、文化審議会著作権分科会の問題点が表れているように、私には思える。
それぞれに権利強化を主張する側が、自分達の主張とは関係の無い権利強化にも賛成してしまえば、権利強化に反対する側は圧倒的に不利になってしまう。
文化審議会著作権分科会のあり方についても、一度検証してみる必要があると思う。

新聞サイトの記事の検証

著作権法改正案可決について、各新聞社のサイトの記事を検証します。
asahi.com

アジア販売の邦楽CD逆輸入禁止など、改正著作権法成立
http://www.asahi.com/national/update/0603/030.html

書籍や雑誌のレンタルに伴う著作権者への使用料支払いの義務化

貸与権は報酬請求権ではありません。使用料支払いの義務化とは違います。権利者から許諾を得ないと貸与ができなくなるのです。権利者が必ずしも許諾するとは限りません。権利者は貸与禁止にすることもできるのです。
貸与権の対象となる貸与は非営利・無料以外のすべての貸与です。「レンタル」だけではありません。「営利・無料」「非営利・有料」の貸与も貸与権の対象となります。

MSN-Mainichi INTERACTIVE

改正著作権法衆院で成立、邦楽CD逆輸入に罰則
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20040604k0000m040033000c.html

改正法にはまた、音楽CDやビデオと同様、出版物の営利目的貸し出しにも、著作権料を請求できる貸与権も盛り込まれている。

貸与権の対象となるのは営利目的だけではありません。非営利でも有料の貸与も対象となります。
貸与権は報酬請求権ではありません。
著作権料を払うから貸与を行いたい、と行っても、著作権者はそれを拒否することもできます。貸与禁止にすることもできる、強力な権利です。

NIKKEI NET

改正著作権法が成立・逆輸入CDの販売を規制
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20040603AT1G0300103062004.html

貸本店への著作権料義務付けでは、映画ビデオや音楽CDのレンタルと同様、レンタル店で借りると料金の一部が著作者に還元される「貸与権」を本や雑誌にも認める。著作権料の徴収方法や貸与禁止期間などについては、コミック作家団体などと貸本業者との間で調整が進んでいる。

貸与権著作権料義務づけではありません。権利者は貸与を禁止することもできます。
貸与権の対象となる貸与は、レンタル店の貸与だけではありません。「非営利・無料」の貸与を除くすべての貸与が対象となります。
調整が進んでいるのはコミック作家団体と貸本業者の間だけです。それは書籍・雑誌の貸与のごく一部に過ぎません。貸与権の対象となる貸与の大半については、何の調整も進んでいません。

Sankei Web

改正著作権法衆院本会議で可決・成立
http://www.sankei.co.jp/news/040603/bun061.htm

またレンタルブック店の急増を受け、書籍や雑誌を営利目的で貸与するときに、音楽CDと同様に作者らが著作権料を請求できるようにするほか、罰金や懲役の上限の引き上げなど、著作権侵害に対する罰則の強化も盛り込んだ。

貸与権の対象となるのは、営利目的の貸与だけではありません。非営利でも有料の貸与も対象となります。
貸与権は報酬請求権ではありません。貸与を禁止することもできる強力な権利です。

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ここで紹介した記事の全部がが正しいことを伝えていませんでした。