文化庁へのインタビュー記事

ITmediaより

連載第2回:輸入音楽CDは買えなくなるのか?
「副作用」は覚悟していた――文化庁に聞く著作権法改正の舞台裏
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0405/13/news022.html

ツッコミどころ満載のインタビュー記事。
「「副作用」は覚悟していた」というのなら、その副作用も全部提示して、それでパブリックコメントを求めるべきでしょう。
「副作用」をかくして法改悪を強行しようというのは、姑息。

以下、文化庁・長官官房著作権課の森下平氏(法規係長)の発言より。

なぜ著作権法で対処するのかと言えば、諸外国の例にならってということになります。

というのなら、諸外国で例のない書籍・雑誌へ貸与権を適用するのはおかしい。

法改正によってアジア市場へ進出することができるならば、それは必要な措置です

それこそ、アジア市場への進出はレコード会社の自己責任で行うべきことでしょう。

洋盤に対する懸念や、CDの価格が高止まるのではないかという懸念については、法案の起案段階から想定していたことで、その点に関する批判は仕方がないと思っています。

仕方がないとは、批判されてもそれは無視して、法改悪を行う、ということか? 想定していたなら、それに対する納得できる説明をすべきだ。

最後に、森下氏の言葉ではなく渡邊宏記者の文章から。

文化庁は、言ってみれば著作権者(アーティスト側)の利益を保護するのが立場。改正案中にある「利益」も著作権者が受け取るライセンス料を指しており、消費者利益というわけではない。

私は、文化庁著作権者の利益を保護する立場とは考えない。本来なら、著作権法第一条に

これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与する

とあるように、利用と権利保護のバランスを考えて文化の発展に寄与する立場だと私は考える。しかし現在の文化庁は、渡邊氏が各様に、権利保護のみに重点を置いている。それがそもそもの問題だと私は考えます。

音楽関係者の記者会見

ITmediaより

輸入音楽CD規制に「待った」――音楽関係者268名が反対表明、幅広い層への理解を求める
http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0405/13/news057.html

この記事で一番注目したのは、高橋健太郎氏の次の発言。

著作権法というものを利用して、知る自由や表現の自由を制限しかねないことに対して、危惧を表明する

この発言には大いに賛同します。
私が貸与権や公貸権に反対するのも、それがまさに「知る自由」の制限につながり、私が「無断引用」という言葉をしつこく弾劾するのも、それが「表現の自由」の制限につながると考えているからです。
貸与権や公貸権の導入に積極的な立場の人(作家・学者など)は基本的に情報の入手に関しては特権的な立場にあり、「無断引用」という言葉を使う新聞社も、表現という点では特権的な立場にあるということを忘れてはいけない。

版元日誌

版元ドットコムの版元日誌第171回「「暴露本出版社」が「言論の自由」と「報道被害」について考える」http://www.hanmoto.com/diary/diary040512-1.htmlより

繰り返す。「報道被害」が生じるのは、「反論権」がないからだ。政治家、芸能人、大企業、知識人、言論人には、「反論権」や「対抗言論」の手段がいくらでもある。

公貸権導入や図書館での貸出禁止期間の導入をもくろむ作家達は、いかに自分たちが弱者であるかを主張するが、彼らは弱者なんかではない。
主張の伝播力、世間への影響力といった点では圧倒的な強者である。マスコミも彼らの味方である。文化審議会著作権分科会にも代表を出している。
いくら私がここで公貸権への反対意見、貸与権への反対意見を述べたって、彼らの影響力の足下にも及ばないだろう。
もう一度言う。
作家は弱者なんかではない。強者だ。